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2011年2月7日月曜日

差別の民俗学



民俗学者である赤松啓介さんの差別に関する論考をまとめた一冊です。
いわゆる「常民」と呼ばれる一般的なものの見方を否定し、差別というものがどのようにして産まれ、現在にも残っているのかを色々な具体例を取り上げながら考察していきます。

個人的に非常に面白かったのは「山道」のお話でしょうか。
差別をされていた人々が使っていた人知れない山道の存在など。
歩行法による速度と併せ、このような道の存在が全国に張り巡らされていたことが当時の驚異的な移動スピードに繋がっている面もあったのではないかと。

日本においてありがたがられる「道」の考え方も、裏を返せば差別的な思想と結びつく、という辺りは指摘されてみて初めて気が付きました。
どのような物事も、評価というのは一側面だけで考えてはいけないな、と思いつつ。

2011年1月9日日曜日

社会的共通資本



そもそも経済学の役割とは「豊かで公正な社会の構築」にあったのではないかと思います。
しかし、現在の社会情勢は「自分が如何に多くのものを手にするか」ということばかりが話題になるようになりました。
ここのところ繰り返し指摘している「所有感の充足」が第一のものさしになっています。

自由主義、新自由主義といった「小さな政府で市場に任せるべき」という傾向が強まり続けた過去10~20年を経て、現在の我々が「良い雰囲気」を感じてるかというと、到底そうとは言えないのではないかと思います。
どちらかといえば日に日に強まっていく閉塞感の中で、誰しもがどことなく世間に対して不満をいだいているのではないかと。

本書は「社会的共通資本」という思想のもとに、医療や介護、農業や教育などの各分野について「現在とは異なる公正、公平な社会の構築方法」について考察しています。
経済というものさしを使う場合でも「金銭的な経済」のみでなく、社会的な意義や体験といった非金銭的な価値についても比較をしています。

とかく「金で測れないものにこだわることは非合理だ」と言われがちな昨今ですが、実際には「ものさしを一つに絞ってしまうことがどれほど怖いか」ということを露呈しているのではないかと思います。
個人的には農業分野における規模の問題や、教育におけるインネイト(先天的)なものに関するお話が非常に興味深かったです。


繰り返し取り上げている「所与的感覚」というものともつながる部分があるお話です。

2010年11月29日月曜日

贈与論



内田樹さんの本の中で何回か出てくるマルセル・モースの贈与論、原典に当たってみました。
正直、宗教系や民族系の難解な用語には中々ついていけない部分もあったのですが、やはり原典を読んでみてとても良かったです。

現在における贈与というものは「任意」や「好意」なわけですが、そうではない「義務としての贈与」というものが存在していたことが繰り返し説明されていきます。
贈与と返戻、また自分がもつ富を破壊する行為など、現在の我々の価値観からするとちょっとずれているお話なのですが、実は別の原理原則から考えるととても理にかなっているお話であることが本書を読み進めていくと分かってきます。

経済的な要素のみでなく、この「贈与と交換」という行為を通じてこそ「人間社会なるもの」が形成されていったのではないか、という全体的なお話が展開されます。

現在の諸問題の根っこにあるものを探るのにとても良い一冊かと。

2010年1月4日月曜日

タックスよ、こんにちは!



日本税制の現状や課題などがコンパクトにまとめられた本です。
今から数年前に書かれた本ですので少々古い情報も含まれていますが、十分実用に耐えうる内容になっているかと思われます。

国税と地方税の考え方の相違や、累進的負担と応益負担のバランスなど、非常に分り易くお話が進行して行きます。
途中の所得税や消費税の計算方法については中々わかりづらいかもしれませんが、それ以外の概略部分を読むだけでも十分に価値があります。

これから先、税制はその姿を変えて行くことが半ば必定と思われます。
どんな税制が望ましいのか、納税者一人ひとりが是非考えて頂きたい大切なお話です。

2009年11月13日金曜日

図解雑学 アパレル業界のしくみ



色々な分野に関する知識を図解しながら分かり易く説明する図解雑学シリーズのアパレルに関する本です。

一言で「アパレル」といっても、その範囲は中々把握できないのではないでしょうか?
例えば「ファッション」と「アパレル」の違いは何でしょうか?
服飾雑貨や靴、小物なども含めて、その実態は案外と分かりにくいものになっています。


本書ではそういった「アパレルの分野」の話や専門用語などについて平易に説明されています。
それぞれの企業や職業がアパレル業界においてどのような役割を担っているのかが分かります。

これまで「製造業」「卸売業」「小売業」といった具合に比較的分かれていたこの業界も、ここ10年程の流れでその業態は大きく様変わりしました。
ユニクロの躍進や海外企業の進出(H&MやZARAなど)など、これまでにはなかった形での流通が発展してきました。
本書の中においても、すでにこれらのモデル企業ですら時代遅れになりつつあるのでは?という指摘がされています。
「何を作るか」に併せ「どのように物流を作るか」や「情報を如何に発信するか」といった真の経営的思考がアパレル企業にも求められているといえるでしょう。

2009年10月28日水曜日

よみものmarisol



ここ最近、普段の自分が読まない本に挑戦しています。
で、その中でも最右翼のものがコレかと。

いわゆるアラフォーと呼ばれる独身女性向けの内容です。
「婚活」「仕事」「出産」「お金」「老後」等々、女性が一人で生きていくことに対する考え方が色々と出てきます。

え~正直に申しますと、私とは全く異なる考え方が存在するんだな…という部分が多いです。
正直「なんだその上から目線は!」というような文言も多数(特に一般女性の声が…)。
でもこういうことを言うと「古い考え方だ」とか言われちゃうんですかね…。


ただ、圧倒的に一つ納得のできるお話がありました。
とある識者さんのお言葉。
「大人になってから重要なのは、友達を作る力」
これには一切の曇りなく賛同できます。
独り身だろうが既婚者だろうが、子供がいようがいまいが、大人になった後に友達を作るのって結構難しいと思うのです。
この力が発揮できると、実は色々なことが出来るようになる気がします。

図解雑学 農業



「図解雑学」シリーズが結構好きです。
何か興味が出た分野について知りたいと思った場合に、簡単に概略を知ることができるのでその分野の入り口を知るに当たって非常にお世話になっています。

最近、一次産業に興味があります。
農業がちょっとしたブームになっていますが、昨今の食糧に関する事情などを考えても食料というものについて色々と考えておくべきなのではないかと思っています。
特に私の職業柄「なぜ一次産業が産業として成立しない状況になってしまったのか」が最大の関心事です。
例えば農業従事者が「適度な収益を得て農業単独で生計が成り立つような状態」を成立させるためにはどのような経営努力が必要なのか、といったことについてここ最近考え続けています。


本書を読むと、農業が如何に効率性を上げ続けてきたのか、そして日本農家の抱える根本的な問題などが見えてきます。

2009年10月24日土曜日

食卓からマグロが消える日



魚が好きです。
ご多分にもれず、マグロが好きです。
お寿司屋さんでは大体最後の方でマグロを食べます。

そんなマグロが資源として枯渇しつつある、なんて話は数年前から出ていました。
で、一つその手のことが書いてある本を読んでみようと思いまして買ってみました。


本の内容としては、マグロがヤバイというよりも「日本の養殖技術はすごい」ということに比重が置かれています。
日本の養殖魚が味や鮮度、食べ時まで適切にコントロールでき、場合によっては天然魚以上に安全性も高いことがあるということが書かれています。


この本の内容だけを鵜呑みにするつもりもありませんが、確かに農産物の品種改良の歴史などを考えてみると、魚を「食品」と捉えれば、人間側からより能動的に管理を進めようとするのも至って自然なことなのかもしれません。

とりあえず読んでいて、おいしい刺身が食べたくなりました。