2011年4月14日木曜日

弓と禅



ドイツ人哲学者のオイゲンヘリゲルさんが書いた禅に関する本です。
以前にご紹介した「日本の弓術」の続編です。

禅に関するお話のとっかかりとして弓術を選ばれ、スポーツや技術論ではない「精神性・神秘性」なものとしてのあり方に試行錯誤をしながら少しずつ前進をされていきます。

「何かをこうしなければならない」という意志の力を明確に否定する弓術の師範。
純粋に呼吸に集中することをしつこく説かれます。
このお話が「本当の意味での合理性」に繋がっているのではないか?と私は感じています。
現在のような状況にあって「ちょっと賢い程度」の知識でこうあるべきだ!などと考えることがどれほど小賢しいことか。

何かができないことを悔しく思わず、何かができたことを喜ばず。
今のような困難な状況にあって、こういう感性はとても大切なことのように思います。

やさしいベイトソン



コミュニケーション理論の大家であるベイトソンに関する入門書です。
「A」と「B」ではなく「AとBの間にあるもの」について着目をするのがコミュニケーションの基本です。
本書の中では「説明原理」として取り扱われています。
説明原理には重力、宗教、悪魔、スピリチュアルなど色々なものが存在しますが、その中の一つのツールとしてコミュニケーションというものの有用性を確立したのがベイトソンです。


言葉だけの言葉などというものは存在しない、というのはとても大切な考え方です。
それまでのお付き合い、前後の文脈、その人の人柄、あるいは発声の方法まで含めて、言葉というものはその状況、ストーリー、コンテキストの中に組み込まれて存在しています。
この現実を無視したまま言葉だけで物事を説明しようとすると、色々と無理が生じるように思われます。

「ただちに危険は生じない」「しっかりと対応していきたい」という言葉が流行している昨今にあっても、このコミュニケーションという考え方はとても大切なものなのではないかと思われます。