2009年9月27日日曜日

面白いほどよくわかる論語


論語とは、中国の大思想家である孔子やその弟子たちの言葉をまとめたものです。
日本においても古くより教育の中に多く取り入れられたりしていました。
戦前、戦中あたりにやや恣意的な活用をされたことにより、現在では忌避感を持たれている向きもあるのですが、書かれていることは「自分を律することの重要性」や「他人と上手く関わっていくには」といった非常に自己啓発的な内容となっています。


前回ご紹介した「人を動かす」との間には実に2,400年ほどの時間差が存在します。
しかしながら、その内容には類似性も多く見られ、古今東西、人間が悩むことやその行動指針や大して変わっていないらしい、なんてことが何となく感じられました。


本書は「論語」に関する入門書です。
特徴は「字が大きくて、絵があって、読みやすい」ということです。
こう書くと何だか馬鹿にされる向きがあるかもしれませんが、私のような「論語初心者」にとっては大変にありがたい本でした。
これまでまったく論語に触れたことのない方にとって、とても良い一冊なのではないかと思います。

2009年9月20日日曜日

人を動かす


人間が一人でできることには限界があります。
しかしながら、やらなければならないことはまた非常に多彩です。
自分に向いている仕事からそうでないものまで、実に多くの「仕事」をこなさなければなりません。


そのような現実を目の前にし、実際に大きな成果を出している人々の多くはある一つの共通点をもちます。
それは「人に動いてもらう、働いてもらうことが上手なこと」です。

そして人に動いてもらうに当たり、もっとも重要なのは「立派な組織論」ではなく「人間として当たり前の行動が出来ているか」という点なのではないかと思えます。
「この人のためなら動きたい」と相手におもってもらえるか否か。
そうやって少しでも多くの人から共感を得て、多くの人に支えられている人が最後に大きな成果を遂げることが出来ます。


本書はそのための「自分の行動指針」がまとめられている本です。
初版発行より早数十年、それでも読み継がれているという辺りが本書の魅力を伝える一番の手段かもしれません。

大切なことは「自分がどのように行動するか」です。
その行動の後に、周囲の人間の動きや成果がついてきます。

2009年9月15日火曜日

虹色のハーモニー


たまには音楽の紹介も。
現在私がもっとも濃いファンをしているアカペラグループ「TRY-TONEhttp://www.try-tone.net/top.html」のCDです。

アカペラという音楽については数年前に起こった「アカペラバブル期」に大分知られるようになりました。
以前に比べて演奏レベルが高いグループが増えてきたようにも思います。

しかしながら、このグループは一味も二味も違う!!
もう聴けば分かる!とでも言いましょうか。
人間の声の可能性を見せつけて(聴かせつけて?)くれる、本当にすごい方々です。

演奏レベルの高さもさることながら、さらに圧巻はそのエンターテイナー性です。
LIVEに行くとそれはそれは楽しい世界が待っております。
ぜひ行ってもらいたい!そして体験して欲しい!
心からそう思えるグループです。

まずはCDを聴いてみて下さい。
お気に召しましたら、是非ともLIVEにも足をお運び下さいませ。

いつも「お金がない」と嘆いている社長のための 資金繰りルールブック


自分で書いた本をここで紹介する日がくるとは思いませんでした。
連休明け位から本屋さんには並ぶようです。

資金繰りの基本的な要素についてなるべく簡単な表現を用いて書いてみました。
特に「収益」と「収入」、「費用」と「支出」の違いについては繰り返し触れています。
この考え方が分かっていないと「利益があっても会社は潰れる」現象が起こる理由が分からないからです。

もう一つ付け加えるなら、資金繰り対策とはそれだけで成立するものではなく、結局のところ利益を獲得し続けることができる仕組み、すなわちマーケティングが構築されているか否かが非常に重要であるという点について触れています。
「借り換えを使ってどうにかする」的な発想の資金繰り対策がもてはやされがちですが、そういった方法は本質的な解決手段とはなり得ないということについて理解をしなければなりません。

現在の自分なりにベストを尽くした一冊です。
宜しければお買い求めください。

2009年9月13日日曜日

世界で一番シンプルな決め方の技術


意思決定というものは、我々が日常的に行っていながらその理屈についてまでは理解が及んでいないものです。
その日の機嫌や天候、体調や同行者といった実に様々な要因から選択は変化をみせます。
そして一つ一つの選択はそれほど大きな結果を招くことではないため、その選択の結果について評価の時間をとることはそれほどないのではないでしょうか。

実のところ、成果というものは余り気にもとめていないような小さな意思決定の連続から確定されているものです。
成果を出している企業の経営者は隙が少ないです。
事業から私生活まで、日常的な選択の連続が結果的に大きな差につながっていることを自覚しているからです。
「こっちは大きなこと」「こっちは小さなこと」と分けるのではなく、一つ一つの決断について責任を持ち続けることが最終的には大きな成果を生み出すことにつながります。


本書はそんな意思決定のための方法論をまとめた本です。
内容は大きな二つの質問に分かれ、それぞれがさらに三つの小さな質問に分かれます。
この六つの質問を常に自分自身に対して実践することで、より成果のでる選択をすることができるようになると説いています。

個人的には「やりたいことではなくやらなければならないことをする」という考え方と「直観を信じる」という内容に我が意を得たり、というところでしょうか。
これは私自身が顧問先に対して常日頃から説き続けていることです。
私自身も、もう少し心身ともに引き締めていかなければなりませんな~。

トポロジカル宇宙 完全版 ポアンカレ予想解決への道


別に専攻していたわけでもないのですが、数学や天文、物理系の入門書を読むのは好きだったりします。
その中でも特に数学については抽象の世界を扱っているという点について、非常に特異なものであると思っています。
ところが数学の世界の研究が進むにつれ、色々なところで実世界とのつながりが明らかになってきました。
抽象を研究しているはずの数学が実は実際の世界で起こっていることを表す算式を作ることができる。
とてもすごいことのような気がします。


本書はトポロジーと呼ばれるものについて書かれている本です。
トポロジーとは空間に関する学問とでも理解すれば良いでしょうか。
学問的にある程度都合のよい空間を規定した上で、その空間をアレコレいじることにより性質を探っていくような学問です。
本来ならば非常に難しい算式が必要なのでしょうが、本書においては一切の算式を廃し、ビジュアルのみでトポロジーの、特に宇宙の形に関するお話を進めていきます。

トポロジーの世界では2006年、難攻不落と言われていたポアンカレ予想という問題が証明されるという出来事がありました。
この問題が解かれたことで、宇宙の形に関する話が先に進んだんだよ、ということも触れられています。


私も本書を読んで全てが理解できたわけではありません。
しかし、非常に想像力を使うことが求められました。
この想像力を使うという行為は、経営においても大変に重要な要素です。

仕事ばかりに頭を使うのではなく、何か違ったことに対しても頭を使うことは脳科学の見地からも正しい行為なのだとか。
皆様もぜひ抽象の世界で想像力を駆使してみて下さい。

2009年9月11日金曜日

Harvard Business Review 2009年10月号


特集は二つです。
・論語
・脳科学

ここ最近の同誌の中では一番楽しめたかもしれません。
論語というと現代の日本ではそれほどなじみのないものになりましたが、戦前の学校教育などにおいては基礎中の基礎として取り入れられていたものです。
その内容を一言で表すならば「あるべきリーダー論」とでもなりましょうか。
特に「徳」という考え方については、とかく「得」「利」といったものにとらわれがちな現代において、とても大切な考え方のように思われます。


後半の特集である脳科学も大変に興味深い内容です。
特に「何歳になっても脳を鍛えることはできる」という論文は、何かと年齢などを言い訳に自分が出来ないことを言い訳しようとしてしまう人々(無論、私も含めてですが)にとって大変に耳の痛いお話なのではないかと思います。
また、論文内において「遊びの重要性」について触れられていたのは我が意を得たり、というところでした。


どちらの特集も面白かったです。
ぜひご一読をば。

2009年9月9日水曜日

イヤな「仕事」もニッコリやれる陽明学


陽明学という学問に関するお話がまとめられている本です。
江戸~幕末期にかけて活躍した多くの志士達が学んでいた学問として、その名は少しだけ知られています。

この学問において「知行合一」という考え方があります。
この言葉について、多くの作家や学者が「言行一致のことだ」という説明をしています。
言っていることと行動は一致していなければならないよ、という意味合いですね。

ところが本書の著者は「そうではない」ということを力説しています。
「そもそも言葉と行動は合一のものである」という考え方こそが「知行合一」の意味だと述べているのです。
人間の中には「良知」と呼ばれるものが存在しており、その良知に従って発言をし、行動を起こしていることこそが重要だ、というような意味合いでしょうか。
(中々に難しいお話なので、簡単にはまとめられません)

哲学の勉強などをした方には、イデアなんてのが比較的近いのでしょうか。
ただし「正しいものが存在する世界が存在する」というのがイデアの発想法なら、「良知は人の中に存在する」と考えているわけですから、より一人ひとりの心がけで何とかなるのでは?という気がします。

他にも「日新(日々変わらないものなどない)」という言葉など、とかく閉塞感に陥りがちな現在のような世の中にあって心の中に留めておくだけでも毎日の生活が少し良い方向に向かうような言葉が紹介されている本です。
あまり難しいことを考えずに、なんとなく目を通してみるだけでも面白いかもしれません。