2009年5月31日日曜日

五輪書


かの有名な宮本武蔵の五輪書の訳本です。


殺陣を始めてからこっち、早く読みたいと思いながら中々時間を作れずにいたのですが、ようやく読めました。
五輪書の訳本はたくさん出ているので、本書にこだわることなく読んでみても面白いのではないでしょうか。

剣術とはつまり相手を殺すための技法であり、自分の体を合理的に動かすことが必須となります。
やはり鍛錬を欠かすことが出来ないものであり、一朝一夕にできるようなものではありません。
また、単純に力が強いものが勝つようなものでもなく、如何に合理的な術を身に付けているか、ということに大きなポイントが置かれています。


本書の最初の方において「実践して身につけろよ」といった趣旨の内容が書かれています。
ここのところ繰り返しお勧めしているドラッカー氏の著作においても、同じような指摘がなされています。
優れた著書として伝えられている多くの本において、この実践ということが問われています。


実践書として一読の価値ありの本です。
是非ご一読を。

2009年5月23日土曜日

イノベーションと企業家精神


繰り返しご紹介しているドラッカー氏の著作の中でも非常に評価が高い一冊です。

イノベーションを一言で言い表すのは非常に難しいのですが、関連する言葉として氏が繰り返し述べられているのは「機会」や「変化」というものです。
人はとかく今まであったものを守ることにのみ執着し、変化や新しいものの訪れ、価値観の変遷を嫌う傾向があります。
しかしながら、成果を遂げてきた多くの「企業家」は、それらの動向を機会と捉え、新旧の技術や技能などを利用してきました。

本書は大きく三部構成に分けられています。
イノベーションの種類やその適用機会などについて述べられた第一部。
イノベーションを利用するに当たり大変に重要な意味を持つ企業家精神について述べた第二部。
そして企業が採用すべき企業戦略について述べられた第三部。


この混迷の時代にあり、イノベーションと企業家精神はある意味において全ての人に求められているものです。
それは生まれついての天才のみが保有するような才能ではなく、努力によって獲得できるものです。
「自分のことは自分で決める」という当たり前のことを、氏はこの著作でも述べられています。


昨今何かと話題になる「福祉国家」というものについても鋭い言及をしているこの一冊。
全ての人に読んで頂きたい「実践のための書物」です。

2009年5月12日火曜日

非営利組織の経営



社会における自分の役割を見つけることが出来ない人が増えています。
それは経済的な要因に限られません。
現在の日本に起こっている現象を一言で表すならば「自信(自身)の喪失」とでもなるのではないでしょうか?

人は金銭的な報酬のみをもって生きていけるものではありません。
自分を成長させ、自己実現を図ることは「良い人生」を送るために必要不可欠なことです。

本書は「非営利組織」を如何に経営するかについて書かれた本です。
学校・病院・NPOなど、現在の日本においてその機能が大きく損なわれている分野が正しく非営利組織です。
なぜこれらの組織が疲弊したのか、そしてその機能が失われたことにより引き起こされた問題は何なのか?
本書は問題の一端を確実に明かしてくれます。


私は本書を敢えて「人材育成」の本と分類させて頂きます。
本書の中から二つだけ文章を抜き出して、その魅力をご紹介させて頂きます。


・自分の人生は自分で設計しなさい。誰も設計してはくれませんよ

・したがって、私はあなたに「明日何をしますか。何をやめますか。」とお聞きすることによって本書の結びとしたい。

2009年5月7日木曜日

現代の経営




本Blogでも繰り返しご紹介しているドラッカー氏の著作です。
氏の著作における「経営に関する古典」のうち、最も基礎とされているものです。


本書が目的としているものは、経営という曖昧模糊としたものに対するシステム、方法論を用意し、直感や経験のみに頼った事業経営からの脱却を図ることです。
それに加え、企業に求められている責任を明らかにし、利益というものに対する労使双方からの考え方を整理し、公益と私益の両立という究極的な目標を達成するための方法論を確立しようとしています。

と書くと非常に難解なのですが、要は本書は「経営者のための行動指針」です。
誰に聞けるわけでもない「困った時の処方箋」のような本と考えることも出来ます。

とは言いましても、本書で繰り返し触れられている通り、知識のみで物事が進むことはありません。
必要なことは何にもまして「実践」の二文字です。
「このツールがあるからもう経営は大丈夫」といった甘い考えは成立しません。


経営に関する本をたった一冊読むのなら本書にすべきだ、と広く推奨されている古典です。
そして古典でありながら、その魅力は全くもって色あせることがありません。

是非お読みになり、実践に移されることをお勧め致します。