2010年3月29日月曜日

近代スポーツのミッションは終わったか



超オススメです。


我々が生きている今の世界を考える上で、身体性を意識することは非常に大きな意味合いがあると思います。
その中で「スポーツ」というもの、あるいは「競技」「勝敗」「ルール」といったものがどのような意味合いを持つのか。
我々が当たり前と思っている常識というものが、実はそれほど当たり前ではないのではないか?という指摘が本書においてはなされています。


私は勝ち組、負け組などとという言葉で簡単に片付けられるようなものに興味はありません。
もっと深いレベルにおいて我々が生きる道はあるのではないかと思っています。


是非是非、ご一読下さい。

2010年3月19日金曜日

Harvard Business Review 2010年3月号



固定観念や既存のしきたりといったものから思考を解き放つ方法について特集されています。
調和を優先することの問題点、管理や権限を放棄することでの解決、デリバティブに対するイメージ、白と黒をはっきりとさせることが問題を解決するとは限らないことなど色々な種類の「定説」がひっくり返されていきます。


個人的に面白かったのは、特集広告の中で触れられていた「属する世界を複数にすべし」という記事と巻末の「東洋的思考のすすめ」です。
はっきりとした物差しを持っていることは、何かを決定するためには非常に有用なことは間違いがありませんが、その物差しでは測ることができない価値というものが物事には含まれている可能性もあるわけです。
その時に物差しを複数持っていたり、はっきりと決定するのではなく現状を見守るような行動に出ることがより良い結果につながることもあります。


無理難題に立ち向かわなければならないことが多い現在のような情勢にあって、物事を進めるために必要なのは「決断力」とは限らないのかもしれません。

2010年3月17日水曜日

大野耐一の現場経営



前回もご紹介した大野耐一さん自らの発言をまとめた本です。


「不良品を混ぜないことが低コストにつながる」などの提言は、正に現在のトヨタが陥っている状況を指し示しているのではないかと思います。
「小さな問題の内に潰しておく」ということを徹底することが本来のトヨタ方式の強みだったわけで。


また、本書の中では非常に会計的な考え方についても触れられています。
数字の上だけでの原価計算や効率性を測ることの無意味さが繰り返し指摘されています。
「沢山作った方が安く済む」というのは幻想に過ぎない、というのは中小零細法人においてこそ肝に銘じておくべき言葉かと。


現在のような不況にあってこそ色々な意味をもつ一冊です。

2010年3月4日木曜日

大野耐一 工人たちの武士道



今こそ読んでおきたい一冊です。

リコール問題に揺れているトヨタ自動車ですが、私が気になっていたのは「トヨタのシステムそのものが欠陥を含んでいる」という風潮の報道でした。
果たして本当にそうなのか?


この年始に読んだ大野耐一さんに関する本を読む限りでは、今回のようなリコール問題に発展させないためにこそ作られたシステムが「カイゼン」「カンバン」というものだったと感じていました。
本書を読んで、やはり今回の問題の根っこにあるのは、システムの不全ではなくシステムの不徹底だったのではないかと思います。


本書の中では、トヨタシステムに対する批判にも回答しています。
そしてまた、今回のリコール問題が起こるのではないか?という予言のような言葉も書かれています。


繰り返しになりますが、今こそ読むべき一冊です。