2010年7月25日日曜日

図解雑学 ギリシア神話



知っているようで知らない、知らないようで知っている。
(恥ずかしながら、私なぞもその典型です)
多くの日本人にとってそんなお話の筆頭にも挙げられる「ギリシア神話」に関する入門書です。

多くの漫画やゲームなどにおいてギリシア神話は元ネタで使われているので、本書を読み進めていると「あ~アレの元ネタってこれだったのね。」と分かることが多々あります。


このギリシア神話のような世界は、特に欧州の人などにとっては非常に馴染み深いお話ですので、当然のことながら彼ら、彼女らの思考論理の形成に影響を与えています。
ヨーロッパのお話、アメリカのお話、中国のお話、壮大さは同じようでもその趣は大きく違うように感じられます。
そしてその傾向が、今持って現代における思考方法の差異につながっているのではないかと。
そのような差異が、歴史的な事実だけではなく想像上の話などもベースにしていることは踏まえておいた方が良いのではないかと思います。
(欧米発祥の哲学の中には、ギリシア神話から発想を得ているものなどが沢山あります)

一つの「知っておいて損はない雑学」として。

2010年7月20日火曜日

世界は分けてもわからない



先日ご紹介した「生物と無生物のあいだ」の著者福岡伸一さんの書かれた本です。
前著と明確なつながりを感じさせる内容となっています。


切り取られた絵画、実験的映像などをモチーフにして科学主義の進展により「生命」や「時間」を分けて分析しようとする行為に関する言及がなされていきます。
前著からひき続いて問われているのは「全体性」と「流動性」なのではないかと。


それでも、科学的な思考を志す現代にあっては「世界を分ける」ことでしか世界に近づくことはできないわけです。
その辺りの「分子生物学者」としての立場と、そうではないもっと「生き物」としての立場と、そういったものの矛盾と両立がまるで小説のように展開していく本です。


事業におけるマーケティングなどについても、こういった感覚を持ちあわせておくことは大変に有用なのではないかと考えます。
とかく視野が狭まりがちな昨今における一つの処方せんとして。

2010年7月19日月曜日

従業員7人の「つばめや」が成功したたった1年で5000万円売上げを伸ばす仕組み



渋谷にある老舗文具店である「つばめや」のウェブマスターである著者が、小さな会社が生き残るためにウェブにおいてどのようなマーケティング手法を実践していけるか?ということをまとめている本です。
著者は名刺のアドバイサーとしても著名な方です。


本書の特徴としては、ともかく実践的なことです。
小売業からサービス業まで、小さな会社の経営に携わっている方ならばどなたでも活用できそうなお話が相当コンパクトにまとまっています。
私自身もとても参考になるお話がありました。

また、ツイッターに関する考察もとても分かりやすいかと。
ツイッターについて「イマイチどうして良いのか分からない」という方(私もそうです…)には、そのイメージを掴むのにとても良い本かと思われます。



何から始めるのか。
そのとっかかりを掴むためにはとても良い本かと。

2010年7月17日土曜日

雑誌のカタチ 編集者とデザイナーがつくった夢



私が愛読している「週刊アスキー」の中で毎週面白いコラムを書かれている山崎浩一さんが「雑誌に関する話」を雑誌に連載したものをまとめたものです。


雑誌、読んでいますか?
おそらく「何も読んでいない」という人が相当数にのぼるのではないかと。
また、最近の雑誌はその多くが「こういうことのために役立つもの」とその目的を絞る傾向にあります。
しかし、その方向性を目指してしまうと、結局はウェブというツールに駆逐されることになるでしょう。

本書の中でも触れられていますが、雑誌にとっての要は「雑」な部分なのだと思います。
決して「純」ではなく「雑」な部分にこそ、雑誌が雑誌というメディアとして存在する意義があるかと。


「自分が興味あるものにだけ触れていく」ことに対する一つの啓示として。

2010年7月14日水曜日

これからの「正義」の話をしよう



「正義」というものについて古今の西洋哲学者などがどのように考えてきたのか。
それを「歴史年表的」に追うのではなく、幾つかの「異なる立場」から類型化して紹介している本です。


幸福の最大化が良いことなのか?
選択の自由を確保することが大切なのか?
共通認識としての「道徳や美徳」を育成し、そこに根ざして生きることが望ましいのか?


まず、本書を通じて私が感じたことは「西洋人の西洋人たる所以」です。
本書はある意味、日本人には決定的に欠けているものを提示しています。
それは「世界のありようを決める」ということです。

この点につき、私は「だから日本人は駄目なんだ」という結論を出すつもりはありません。
むしろ「だからこそ良い」という思いを持っている人間です。


本書を読んだ上で改めて「日本が世界でスタンダードや主導権を握ることは無理だし、また、握る必要もない」という結論に私は達しました。

皆さんはどんな感想を持たれるでしょうか?
色々な意見が出てくる本だと思います。

2010年7月7日水曜日

生物と無生物のあいだ



貝殻と石ころのあいだにある違いはなんなのか?
生命があるものとないもののあいだにあるものはなんなのか?
本書はそんな疑問について、生命を一つの系(システム)と捉えてその特徴を明かしていきます。


この中で触れられているのは、生命が「大きな流れ」をもつ「時間軸を一方向にたどりながら折りたたまれている存在」だと捉えられています。
生命の中にある物質が好き勝手に動かず、一定の秩序をもってその形質が保たれているのは生命のもつ大きさと流動性がポイントになっているのです。


生命がどこまで機械と異なるのは、生命はパーツごとに細分化して考えることがあまり意味を持たないケースがあることです。
機械ならば「あのパーツを交換すれば機能が良くなる」といった議論もできますが、生命ではそのような「部品で捉えた理屈」は通用しないのですね。


エピローグでは「自然の流れ」の大切さが改めて指摘されています。
人間が生命を支配する、という内容ではなく「如何に生命というシステムが優れているか」という生命賛歌のための本です。

2010年7月4日日曜日

天風先生座談



ヨガ哲学に基づき構築された「心身統一法」という考え方に基づき多くの人に支持された中村天風さんの講演内容を作家の宇野千代さんが文章化したものです。


天風哲学と呼ばれる「心のあり方を中心にした人生の考察」について、その内容がざっくりと把握できるような本です。
「まず心ありき」ということを把握した上で、心から身体にフィードバックされることが確認されていきます。


「水が満タンに詰まった瓶」に新しいお湯を入れようとしてもこぼれてしまって入らない、という例えなどは「積み重ねていけば良くなるに違いない」と思いがちな我々にとって耳が痛いお話ではないでしょうか?
「間違った前提」に基づいている限り、良くはならないと断言しています。
文明人である我々の「前提としていること」を今一度疑うことを思考すべき時が来ているのかもしれません。

2010年7月1日木曜日

図解雑学 パラドクス



「私は嘘をついている」
この言葉の真偽は?


有名なこの例を始め、数々のパラドクスについて述べられている本です。
数学、論理学、哲学、果ては政治から愛の世界まで、世界はパラドクスに充ち満ちています。


ゲーデルの不完全性定理において指摘される「自己の無矛盾性を自己で証明することはできない」ということは、昨今語られる「絶対に儲かる!!」だとか「こうすれば上手くいく!!」といった多くの自称定理と呼ばれているようなものに対する強烈なカウンターパンチとなります。


自分が今信じている常識が本当に正しいのか?
そんな世界のあり方の部分まで揺さぶってくるのがパラドクスの存在です。

考えない練習



原始仏教系の「身体技術」について述べられている本です。
宗教に関して身体技術と言い切ってしまいましたが、それくらい本書に書かれていることは「身体的な部分」との関わりが強いように思われます。


現代人が罹っている「思考病」とでも呼べるような状況についてかなり説明が割かれています。
一度思考したことが脳に残り続け、それが方は状態になったときに「痴呆」と呼ばれる状況になるのでは?という推論は私にはとても納得がいくものでした。


周囲に見えるもの、聞こえるものをそのままに受け取り、そこから思考を無駄に展開させない。
観察結果をすべて自分にフィードバックさせようとしない。
ある意味、現在言われている多くの自己啓発系書物とは真逆のことを言っているように思われるかもしれません。


しかし、実は本当に変化の激しい時代にあっては、このように「あるものをそのまま受け入れる」身体感覚を構成しておくほうが適応しやすいのではないかと私は考えます。
純粋にビジネスにも役立つ技術ではないかと。