2010年7月7日水曜日

生物と無生物のあいだ



貝殻と石ころのあいだにある違いはなんなのか?
生命があるものとないもののあいだにあるものはなんなのか?
本書はそんな疑問について、生命を一つの系(システム)と捉えてその特徴を明かしていきます。


この中で触れられているのは、生命が「大きな流れ」をもつ「時間軸を一方向にたどりながら折りたたまれている存在」だと捉えられています。
生命の中にある物質が好き勝手に動かず、一定の秩序をもってその形質が保たれているのは生命のもつ大きさと流動性がポイントになっているのです。


生命がどこまで機械と異なるのは、生命はパーツごとに細分化して考えることがあまり意味を持たないケースがあることです。
機械ならば「あのパーツを交換すれば機能が良くなる」といった議論もできますが、生命ではそのような「部品で捉えた理屈」は通用しないのですね。


エピローグでは「自然の流れ」の大切さが改めて指摘されています。
人間が生命を支配する、という内容ではなく「如何に生命というシステムが優れているか」という生命賛歌のための本です。

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