2009年12月29日火曜日

「ゆる呼吸法」革命



人間は多くの細胞が結合する形で成立しています。
その人間が多く結合することで社会が成立しています。
人間を含めた生物の結合から星が形成され、その星の形成から星系が、そして銀河が、宇宙が…とどこまでもその範囲は広がっていくことになります。
細かい方にいけば、個々の細胞は生きているのであり、その個々の細胞の中にもまたより細かな生物が生きていることになります。


本書の目的は、生きている小さな生物群である細胞と人間の交流を図り、その能力を活性化させることです。
会社が多くの社員から成立するように、一人の人間も多くの細胞から成立します。
マネジメントが適切な経営により社員を導くように、一人の人間が適切な身体運営によって細胞を活性化するように導こうとするわけです。

身体で理解することを忘れがちな現代人にとって、とても意義のあることかと思います。
何より素晴らしいのは、そのための方法が誰にでも挑戦出来る形にまとめられていることです。
特別な技術など何一つ必要ありません。


私自身も少しずつ実践していきたいと思います。

2009年12月26日土曜日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら



ドラッカーの「マネジメント」は経営に関する近現代書物の中で基本にして最良と言われている一冊です。
私自身も読了しています。

本書はその「マネジメント」を女子マネージャーが読んだらどうなるか?という設定でお話が進みます。
小説ですので、いわゆるご都合主義的な部分もあるのですが、それを加味しても「マネジメント」に関するお話がとてもよくまとまっているように思います。


規模の大小に関わらず、組織にはマネジメントが必要です。
また、営利企業のみならず非営利組織や部活動などにおいてもマネジメントの考え方は大変重要になってきます。

人の強みに根ざした組織、成果を評価の基準とすること、顧客から話を始めること。
今でも実践出来ていないことが多いなぁ…と反省しきりです。


サクっと読める本です。
マネジメントを読む前に、あるいは気軽に復習したいときに是非。

2009年12月19日土曜日

ザ・クリスタルボール



つい先日ご紹介した物流に関する本にストーリーをつけたような内容です。
それほど複雑な話でもなく、如何に適正な在庫を保有するかという問題に対しての解決方法が提示されていきます。

在庫をいくら持つべきか、というのは商売における伝統的かつ常に最新の課題です。
個別レベルで立てた需要予測がまったく当てにならず、売れると見込んだ商品が大量に在庫として抱えるハメになったり、逆に品切れを起こしてしまい販売チャンスを逃すようなことも。


本書で紹介されている方法は、小さな会社がそのまま使えるようなものではありません。
ただし、学べきポイントはあります。

・適切なタイミングでの商品の購入

物語の中では一番最後の方で触れられているこのポイントが、小さな会社における最重要課題です。
新たな仕入れルートの開拓や製造工程の見直しなど、実は本書の提示しているお話と非常に密接しています。

女は毎月生まれかわる



つい先日ご紹介した高岡英夫さんと以前にご紹介した三砂ちづるさんの共著です。
どちらの著書も面白かったので読んでみましたが、やっぱり面白かったです。

ゆる体操の方法論と併せて、最終的に目標とされるセンターの意識や、女性の月経に対する身体の使い方や意識の持ち方などに触れられています。


正直、男である私には分からない部分も非常に大きいです。
しかし、本書の中でも触れられている「男性よりも女性の方が身体のパフォーマンスは高い」という事実を考えるに、その女性の身体能力を高める方法論が男性にとって有用でないことはありえないのではないかと思います。
筋肉や関節に加え、内蔵のゆるめかたなども意識出来るだけでも確実に自分の身体に対する意識が高められると思います。

少しずつ実践して、センターのある身体を手に入れていきたいものです。

2009年12月17日木曜日

最新戦略物流の基本とカラクリがよ~くわかる本



良著です。

物流対策というと自分のような小さな会社には関係がない、なんて考えてしまいがちです。
しかしながら、実は物流というものはどんなに小さな企業においても非常に大きなポイントを占めています。

・適切な在庫水準をどのように保つのか
・小口での輸送は出来るのか
・資材調達のタイミングをどのように図るのか

これらはすべて物流という分野の一側面と考えることができます。

「在庫に問題がなく、顧客に適切なタイミングで商品が届くように調達のタイミングがバッチリとることができている企業」であれば物流対策は必要ないでしょう。
しかし、そんな企業はそうそう存在しませんし、だからこそ物流について検討する必要性があるのです。


本書は物流を戦略面から考えるための入門書として非常に優れています。
私自身が常に気をつけている「キャッシュフロー経営」の考え方についても、大変よくまとまっています。

「物を売る」というお仕事をされている方には広く読んで頂きたい本です。

2009年12月12日土曜日

うぶ声に応えて



身体に関する本が続きます。
三砂ちづるさんの「オニババ化する女たち
高岡英夫さんの「だれでも「達人」になれるゆる体操の極意
中村明一さんの「「密息」で身体が変わる

読み続けるうちに、どうしても「女性の身体」についてもっと知りたくなりました。
特に気になったのは月経のことや出産のことですね。
この辺りの話が勉強したくなり、どんな本を読めば分かるかな~と少し考えました。


で、選んだのが助産師さんが書かれたこちらの本です。
読んだ結果、やはり我々はもっと自分たちの身体について知るべきだと感じました。
特に女性の身体について、もっと積極的に知るべきだと思います。
加えて強調したいのは、女性の身体について男性ももっと知るべきかと。

とかく、我々男性が女性の身体に興味をもつのは「性的な意味」からなわけで。
その点について、別に否定をする気もありません。(私だって人並み以上にスケベですから)
ただ、闇雲に「命は大切だ」とか「他人には優しくしなくてはならない」なんて精神論を子供に教えるよりも、「性」というものに対して総合的・体系的なお話を伝えた方が感じてもらえるのではないかなぁ、と感じています。
我々は皆母親のお腹から産まれたわけですから。


男性が読んでも、いや、男性こそ学ぶところがある本です。

2009年12月11日金曜日

「密息」で身体が変わる



日本人が以前行っていたであろう呼吸法「密息」について書かれた本です。
「密息」の仕方からその背景まで、非常に広い範囲に渡ってお話が進みます。


音楽をやっている身として、倍音やリズムに関するお話は非常に面白かったです。
また、ドラッカーなどを読んでいてよく出てくる「日本画の構造」の話などが見事に絡んできました。
主構造を持たず、豊かな従構造に支えられた世界観という考え方は、ドラッカーが繰り返し指摘しているお話とほぼ同様の指摘のように思われます。


そういった芸術論や社会学的なお話が、呼吸法一つから展開されるという点が非常に大切かと。
やはり「身体感覚を高める」ことの重要性を改めて思い知らされた気分です。


「ゆる体操」といい「密息」といい、身体感覚を知るのに良いテキストがまだまだあるものですね。

2009年12月7日月曜日

だれでも「達人」になれるゆる体操の極意



正直、私にとってはこの本に至るのは必然であったように感じています。
高岡英夫さんの提唱する「ゆる体操」に関する入門書です。

高岡さんに行きつくルートは三つ用意されていました。


・私が最も敬愛するアカペラグループトライトーンのヴォーカルベース、青木肇さんが繰り返し書評を書かれていた件。

・現在習っている殺陣剣術の教室でお世話になっている師匠がやはり高岡さんの本を読まれており、そのメソッドを取り入れている件。
高岡さんは「月刊秘伝」という武術雑誌に連載を持たれています。

・先日読んで大変面白いと思った三砂ちづるさんの本において、やはり高岡さんのお話が出てくる件。


ここまで状況がそろったからには、やはり取り入れなければならないだろうな~と。
というわけで読んでみて、且つ現在「ゆる体操」を自分の生活に取り入れ始めた所です。

最近、歌う時にもこの「ゆるみ」を意識しているのですが、以前に比べて演奏にムラがなくなった上、無駄な力みがなくなったことから息が以前に比べてもつようになりました。


コレ、もっと自分のものにしたいな~と素直に思える代物です。
日常生活においても存分に活用の余地がありますので、是非ご一読を。

2009年11月22日日曜日

色彩検定3級対策テキスト



最近、色というものに興味があります。
仕事柄店で売っているものや提供しているサービスなどについて、よく観察をするように心がけているつもりです。
その中で、特に「色味」というものの多彩さに目が引かれることが非常に多いです。

なぜこんな配色になっているのか?といったことが気になったので、一つ体系的に勉強をしてみようかと思って本屋さんで色彩検定のテキストを購入しました。

読み進めていくと「あ~なるほどね~」というお話が非常に多くてびっくりしました。
「各お店の店員さんが来ているユニフォームの配色」なんてのも、その気になってみるととても面白いものですね。


せっかくだから、来年の検定試験は受験してみようかもしれません。
中々役に立ちそうな気がしています。

2009年11月13日金曜日

図解雑学 アパレル業界のしくみ



色々な分野に関する知識を図解しながら分かり易く説明する図解雑学シリーズのアパレルに関する本です。

一言で「アパレル」といっても、その範囲は中々把握できないのではないでしょうか?
例えば「ファッション」と「アパレル」の違いは何でしょうか?
服飾雑貨や靴、小物なども含めて、その実態は案外と分かりにくいものになっています。


本書ではそういった「アパレルの分野」の話や専門用語などについて平易に説明されています。
それぞれの企業や職業がアパレル業界においてどのような役割を担っているのかが分かります。

これまで「製造業」「卸売業」「小売業」といった具合に比較的分かれていたこの業界も、ここ10年程の流れでその業態は大きく様変わりしました。
ユニクロの躍進や海外企業の進出(H&MやZARAなど)など、これまでにはなかった形での流通が発展してきました。
本書の中においても、すでにこれらのモデル企業ですら時代遅れになりつつあるのでは?という指摘がされています。
「何を作るか」に併せ「どのように物流を作るか」や「情報を如何に発信するか」といった真の経営的思考がアパレル企業にも求められているといえるでしょう。

2009年11月10日火曜日

オニババ化する女たち



人間の身体というものは本来もっと優れた機能を持っていると思います。
例えば武術の本を読んでいて、先人が持っていた身体感覚に少しでも触れたとき「あ~なんでこんなことに気がつかなかったんだろ」なんて思わされることがあります。
歌を歌っていも同様で、身体の正しい使い方を意識できた時、これまでとは全く違った音の世界を感じることがあります。


本書は主に「女性の身体」について書かれた本です。
出産やセックス、子育てなどの話題が中心となっています。
全面的に触れられているのは「女性の身体能力を引き出すこと」です。
その為に必要なことは何なのか、ということについての一つの考え方が提示されています。

現在の社会情勢からすれば明らかに受け入れがたいものも多々あるかと思います。
本書に書かれていることの全てが正しいとも思いません。
しかし、少なくとも現代人が「身体能力を全く活かせていない」ことには同感です。

身体性を取り戻すことは、結果的に精神的な充足を生み出すと思います。
スピリチュアルなんて話がよく出てきますが、身体を無視した話なんて私には意味がないと思っていたりします。


中々に面白い本でした。
武術書や農業の本を読んでいるときに感じたのと同じ「宇宙的つながり」が少し感じられました。

愛する言葉



岡本太郎氏という存在は、私、というよりも川崎市民には割となじみが深い存在です。
元々氏の実家が川崎市高津区二子というところにあり、その近辺には今でも「岡本かの子記念碑」が存在しています。(氏の母親ですね)
何やら色々と複雑な家庭だったらしく、地元では岡本家に関する研究を地道に続けられている方もいらっしゃるようです。(我が家に郷土史の研究本があります)
また、太郎氏の美術館は今でも川崎にあります。


本書はその太郎氏とそのパートナーであった敏子さんの発言をまとめたものです。
敏子さんは太郎さんの「養女」という立場にありましたが、もっとも一般的な概念で述べるならば「夫婦」に近しい関係にあったと言えるでしょう。

その言葉は鮮烈です。
つまらない理屈など吹き飛ぶ情熱を秘めています。
生きるということの瞬間性と継続性、両面に渡って実に様々な発言がなされています。


小難しい文明論は、本当に情熱的な人の前では通じないんだよな…と。
何だか色々と考えさせられました。
「何だかよく分からない状態」の時に読むと、すっきりするかもしれません。

2009年11月7日土曜日

奇跡のリンゴ



農業に関する本が二冊続きました。
こちらは非常に有名な本ですね。
無農薬でリンゴを栽培している青森の農家さんのドキュメンタリーです。

昨日ご紹介した「儲かる農業」とその主張は正反対です。
片や文明の力を最大限活用しようとする「儲かる農業」
そして片や文明の証明である大規模農業を最後には否定する「奇跡のリンゴ」
前者は値引きを否定し、後者は高値を否定します。


どちらが絶対的に正しいとは私には断言できません。
どちらもが周囲に対する感謝や愛情の心を隠そうともしません。
ここ最近読んでいた孔子と老子の対比のようなものを感じました。

2009年11月6日金曜日

儲かる農業



一次産業の世界に興味があります。
先日も農業や漁業に関する本をご紹介しました。

新興国の発展などに伴い、今後は食料の供給体制をどのように整えていくのかが課題になるのではないかと漠然と考えています。
また、なぜ一次産業がこれほど利益が出ない産業になってしまったのかについて、非常に興味があります。


本書は農業の世界に一般ビジネスの発想法を持ち込んだ会社について書かれています。
・顧客が欲しいものを作る
・顧客が欲しい時に届ける
・事前に契約を結び、要望に合わせた仕事を提供する
通常のビジネスで当たり前だと思われていることが、農業の世界では通用しないことが多いのだそうです。

「良いものを作れば売れる」というのは大きな勘違いだ、などの発言は私の日頃の発言とまったく同じです。
商品の良さを決めるのは生産者ではなく消費者や購買者である点を忘れてしった時点で、事業の行き詰まりは始まります。


農業に限らず、中小零細企業に不足している要素が非常に多く含まれている本かと思います。

2009年11月5日木曜日

人は見た目が9割



やはり基本的に美男美女は得なんだと思います。
私の周囲においても、自分が美男美女であることを活用して他の人よりも良い成果を出している人を知っています。
AさんとBさんが同じことを言っているとしても、AさんがイケメンでBさんが不細工ならAさんには賛同が、Bさんには非難が起こるようなことも残念ながら珍しくありません。
その一方、イケメンであるAさんがそれを悪用し、何かの問題が生じたような場合にはBさん以上に周囲から叱責されるようなことがあります。
それまでは「あの美人女優の魅惑のドレスが!」なんて言われていたのが「あの女優の隠された我儘放題!」なんて手のひらを返したような反応など。


我々は言語以外の要素からも相当量の情報を得ています。
本書はそんな非言語的なコミュニケーションについて総合的に取り上げている本です。
顔の作りから所作、服装や色味など、特に視覚に関するお話が沢山掲載されています。
他にも「間の取り方」や匂いに関するお話など、話さないことによる表現などについて多くの事例が分かり易く書かれています。

発声そのものを変えていくことでも印象は大きく変わります。
語る内容も大切ですが、より大切なのはもっと「総合的な表現力」なのだと思います。

2009年10月30日金曜日

図解雑学 老子



孔子と並び称される賢人として挙げられる老子の思想に関する入門書です。
孔子があくまで「社会性」や「文明」というものを重視したのに対し、老子は「内面性」や「文明の否定」といった側面を持っています。


現代社会においては、およそ受け入れがたい言葉も多く載せられています。
「民は愚かなままにしておいた方が為政者は統治がしやすい」などの言葉は、例えそれが真実なのだとしても我々には到底許容できる考え方ではないのではないかと思います。

また老子は知識と言うものの存在も肯定的に捕えていません。
孔子と老子が会談した際、老子は「あなたが勉強していることなど全て辞めてしまえばよい」と孔子に対して諭したと言われています。
(ただし、これはおそらく架空のお話であろうと言われているようです)


しかしながら、その内面を深く問う思想には学ぶべきところも非常に多くあります。
「足るを知る」などはその最たる例です。
無制限な欲望が原因で身を持ち崩すことはいつの時代にも存在していました。

根源である「道」というものに即して素朴に生きることの重要性を説いた老子の思想は、とかく欲望に振り回されがちな我々にとっても学ぶべきところが多くあるように思えます。

「三国志」軍師34選



中国の有名な伝記「三国志」及びそこから派生した「三国志演義」においては、勇猛果敢な将軍や智謀に優れた知略家が戦場で華々しい活躍をしていたと語られています。

しかし、本書の著者である渡邊義浩氏によれば、実際には三国時代において最も強い力を誇っていたのは「名士」と呼ばれる存在であったと指摘しています。
名士はその名声と情報網、分析力などを駆使し、それぞれが重視する儒教的主観を実現するために君主と手を結ぶようになりました。
君主側も名士が持つ名声や情報網を当てにし、「軍師」という役職に彼らをつかせます。
「師」というくらいですから、君主にとって各名士は「教えを請うべき師匠的存在」であったといえます。


名士に最も求められたのは、戦場における知略ではなくより大きなレベルでの「戦略的思考」でした。
諸葛亮がその存在意義を認められたのも、戦場における戦術的要素ではなく、俗に「天下三分の計」と呼ばれる大きなレベルでの戦略論を語ったことにあるとされます。
「三国志」「三国志演義」においてはあまり評価が高くない人物も、実際には名士として非常に有能であったことも多いようです。

信用の大きさや独自の情報網が成果につながるという意味では、現代の経営においても非常に近しい部分があるかと思われます。
一つの歴史読み物として、また戦略論のテキストとして読み応えのある一冊です。

2009年10月29日木曜日

一瞬で相手を落とす!コールドリーディング入門



最近ではすっかりとメジャーになった「コールドリーディング」に関する入門書です。
コールドリーディングとは占い師や手品師などが商売用に使っている会話術のようなものです。

例えば「誰にでも当てはまる内容の話」を適切な順番で提示することで、聞いている相手が勝手に自分から語りだすようなことを狙っていったりします。
「あなたは基本的には社交的なのですが、自分の内側にこもりたくなることがたまにありますね」みたいな内容の文章は、読み様によってどんな人にでも該当します。
こういった文章をいくつかつなげることで、相手から信用を得たりすることが期待されます。


これだけ聞くと何だか詐欺っぽいお話なのですが、結構まじめな「対人間学」のようにも思えます。
本書の最後の章では「相手に対して興味を持ち、理解しようとすることの大切さ」を説いています。
この心持ちがあるかないかが、良い人間関係を築けるかどうかの分水嶺とも言えるでしょう。

悪用を志すのでなければ「相手が気持よく話せるようになる技術」と理解できます。
表面的に使いすぎると如何にも軽薄な人間になってしまいそうですが。

2009年10月28日水曜日

よみものmarisol



ここ最近、普段の自分が読まない本に挑戦しています。
で、その中でも最右翼のものがコレかと。

いわゆるアラフォーと呼ばれる独身女性向けの内容です。
「婚活」「仕事」「出産」「お金」「老後」等々、女性が一人で生きていくことに対する考え方が色々と出てきます。

え~正直に申しますと、私とは全く異なる考え方が存在するんだな…という部分が多いです。
正直「なんだその上から目線は!」というような文言も多数(特に一般女性の声が…)。
でもこういうことを言うと「古い考え方だ」とか言われちゃうんですかね…。


ただ、圧倒的に一つ納得のできるお話がありました。
とある識者さんのお言葉。
「大人になってから重要なのは、友達を作る力」
これには一切の曇りなく賛同できます。
独り身だろうが既婚者だろうが、子供がいようがいまいが、大人になった後に友達を作るのって結構難しいと思うのです。
この力が発揮できると、実は色々なことが出来るようになる気がします。

図解雑学 農業



「図解雑学」シリーズが結構好きです。
何か興味が出た分野について知りたいと思った場合に、簡単に概略を知ることができるのでその分野の入り口を知るに当たって非常にお世話になっています。

最近、一次産業に興味があります。
農業がちょっとしたブームになっていますが、昨今の食糧に関する事情などを考えても食料というものについて色々と考えておくべきなのではないかと思っています。
特に私の職業柄「なぜ一次産業が産業として成立しない状況になってしまったのか」が最大の関心事です。
例えば農業従事者が「適度な収益を得て農業単独で生計が成り立つような状態」を成立させるためにはどのような経営努力が必要なのか、といったことについてここ最近考え続けています。


本書を読むと、農業が如何に効率性を上げ続けてきたのか、そして日本農家の抱える根本的な問題などが見えてきます。

2009年10月26日月曜日

哲学的な何か、あと科学とか



「この世の中にいるのは実は自分だけで、周囲にいるのは皆人間ではない何かなのではないか?」なんて疑問を持ったこと、これまでの人生の中でなかったでしょうか?
子供の時、私はよくトイレに入っているときにこんなことを考えていました。
トイレというたった一人っきりの空間において、ふとそんな考えにとらわれてしまうとしてもそんなに不思議なことではないような気がします。

哲学というのは例えばそんな「意識」というものを研究するものです。
「脳が人体の中心的なパーツである」という生物学的なアプローチからのみでは、上記の問題は解決しません。
(ちなみに、最近では「脳が人体の中心的なパーツである」とは言い切れないみたいですが)


本書はこういった「人間の意識」の問題に「量子力学」という科学の問題を絡めて話が進んでいきます。
量子力学は現代のテクノロジーの根幹をなしている非常に重要な考え方なのですが、これまた非常に難解なものでして…。
「観測」という行為がどのような意味を持つのか、という非常に深い問題が取り扱われます。
観測するということは、つまり意識が絡んでくるのですが…続きは是非本書でご確認下さい。

2009年10月25日日曜日

哲学的な何か、あと数学とか



実は前著「哲学的な何か、あと科学とか」も読んでいるのですが、まずはこちらをご紹介。

「数学=無機質な記号の羅列」というイメージを覆す一冊。
私自身は決して数学が得意なわけではないのですが、数学史のようなものには非常に興味があったりします。
以前ご紹介したポアンカレ予想だとか、リーマン予想の話などを聞いていると結構楽しめるクチです。

本書は「フェルマーの最終定理」が如何に証明されたのかについて、その歴史を語っています。
そこに存在するのは非常に人間臭く、目の前にある「そのもの」に真摯に向き合おうとするひたむきな人生そのものです。

一つの歴史読み物としてお勧め致します。

2009年10月24日土曜日

食卓からマグロが消える日



魚が好きです。
ご多分にもれず、マグロが好きです。
お寿司屋さんでは大体最後の方でマグロを食べます。

そんなマグロが資源として枯渇しつつある、なんて話は数年前から出ていました。
で、一つその手のことが書いてある本を読んでみようと思いまして買ってみました。


本の内容としては、マグロがヤバイというよりも「日本の養殖技術はすごい」ということに比重が置かれています。
日本の養殖魚が味や鮮度、食べ時まで適切にコントロールでき、場合によっては天然魚以上に安全性も高いことがあるということが書かれています。


この本の内容だけを鵜呑みにするつもりもありませんが、確かに農産物の品種改良の歴史などを考えてみると、魚を「食品」と捉えれば、人間側からより能動的に管理を進めようとするのも至って自然なことなのかもしれません。

とりあえず読んでいて、おいしい刺身が食べたくなりました。

この世でいちばん大事な「カネ」の話



漫画化西原理恵子さんが書かれた「カネ」に関する本です。
ギャンブルから投資、自分で金を稼ぐということと働くということなど、色々なことについて突っ込んだ発言がまとめられています。

私自身が資金繰りに関する書籍を書いた身ではありますが、本書は非常に立派な資金繰りに関する書籍であると感じました。
起業というものや経営というもの関して、非常に軽く考えている方も多い昨今ではありますが、お金というものに関しては是非ともこれくらいの真剣さをもって向き合っていきたいものだな、と。

私自身、本を読んだだけで理解できた気になっている事項が多いような気もして反省です。


「貧乏人の子供は貧乏人になる」
「金は人間関係」

これらは私も事実だと思います。
だからこそ金に対して、真剣に向き合う必要があるかと。

「買う気」の法則



マーケティングの4Pと呼ばれる要素はご存知でしょうか?
プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションの四つを組み合わせることがマーケティングには必要だよ、という半ば古典とすら言われつつあるマーケティング学の基礎となっているものです。

プロダクト(商品やサービス)の品質が高いだけで売れるわけでもなく、プライス(価額)が安いからといって売れるというわけでもありません。
しかしてプレイス(売る場所)を変えさえすればどうにかなるわけでもありませんし、プロモーション(広告や広報)を積極的にやればそれで結果が出るわけでもありません。
この四要素が噛み合っていることが市場にその商品が残ることができる前提となってきます。


本書はプロモーション、特に広告というものについて日本の現状把握とその問題点、そして取り組むべき課題について取り上げています。
特に「どんな商品を売り込みたいのか」によって取り組むべき課題は異なっている、という部分などは多くの中小零細企業や個人事業者にとっても参考になる部分が多いかと思います。

現状、本書で言うところの事業主と呼ばれる人々は、こと広告というものに対して「過剰なる期待」を頂き過ぎなのかもしれません。
まず自分の身を律すること、後に広告の活用方法を考えること。
当たり前のことが案外とおざなりになっているのかもしれません。


中盤部に書かれている「マスコミの自縛と自爆」については、よくぞ書いてくれたという感じでしょうか。

2009年10月23日金曜日

マミちゃん(仮名)ばかりが、なぜモテる?



漫画化柴門ふみさんが書かれた「女が嫌いな女」を分析した本…のはずが、なぜか「日本人男性が如何に幼稚か」というお話に。

「雰囲気美人」に関するお話などは、非常に参考になります。
「美人薄命」だとか「美女は三日で飽きる」なんて言葉も世の中には存在しますが、「雰囲気美人」はその雰囲気を継続させる仕組みさえ維持できれば、成果は出し続けることができるのかもしれません。


正直「女の都合で勝手に分析するなや!!」と反発を覚える部分もありますが…。
ただ、自分のことは自分で見えないもの、結構痛いところをつかれてるよな~などと恥じ入る次第です。
「男が男を見る目」については非常に納得。

幼稚な男とそんな幼稚な男にいれあげる女の世の中、だからこそ世界は面白い。
結局人間って基本的にはどこまでいっても社会性の生き物なんだなぁ…とかってに結論づけています。

あえてラベルを「マーケティング」にしたのは人間間の関係性ということに注目して。
マーケティングとは究極的には関係性の生成と維持、成長促進です。

「論語」の話



論語について、ラジオで一ヶ月間放送された内容を一冊の本にまとめたものです。
それまでの論語に関する研究から、話者の独自の視点まで多くの解釈が取り込まれています。
「論語=難しくて分からないもの」という固定観念を払ってくれる、非常に面白い本です。

切り口も中々に面白いです。
孔子の音楽観や女性観など、通常の書籍では取り上げられないような切り口でその人物像が語られていきます。
人間としての孔子がどういった人物だったのか、想像力を刺激される内容です。


話者は「人間の可能性と限定を認識し、どのように生きていくのか」ということが論語の結論ではないか、とまとめています。
とかく「何かが悪い」「環境が悪い」「他人が悪い」と問題を外部に求めがちな我々ですが、結局は自分自身がどのように行動するのかが問われているということなのかと。

2009年10月8日木曜日

小説家の経営術


私はブログなどで常に「想像力を働かせること」の重要性を説いています。
というのも、想像力がない状態で物事を進めていても、結果は出せないからです。
「明確に想像できることは実現できる」ということを常に周囲に対して、そして自分自身に対しても言い続けているのです。

想像を働かせ、物語を作り上げ、自主性をもって行動を決める。
これらは非常に簡単であり、かつ、非常に難しい行為でもあります。


本書は小説家であり、同時に経営者でもある著者が小説と経営に関する話を絡めて進行していきます。
「読者を引き込む小説の書き方」から見えてくる「利害関係者を幸せにする企業経営の方法」について、非常に分かりやすく表現されています。

「何となく日常がつまらない」と思われているような方にとっては、中々に面白い内容かと思います。
自分の人生をより楽しむためのヒントが色々と詰まっているかと。

2009年9月27日日曜日

面白いほどよくわかる論語


論語とは、中国の大思想家である孔子やその弟子たちの言葉をまとめたものです。
日本においても古くより教育の中に多く取り入れられたりしていました。
戦前、戦中あたりにやや恣意的な活用をされたことにより、現在では忌避感を持たれている向きもあるのですが、書かれていることは「自分を律することの重要性」や「他人と上手く関わっていくには」といった非常に自己啓発的な内容となっています。


前回ご紹介した「人を動かす」との間には実に2,400年ほどの時間差が存在します。
しかしながら、その内容には類似性も多く見られ、古今東西、人間が悩むことやその行動指針や大して変わっていないらしい、なんてことが何となく感じられました。


本書は「論語」に関する入門書です。
特徴は「字が大きくて、絵があって、読みやすい」ということです。
こう書くと何だか馬鹿にされる向きがあるかもしれませんが、私のような「論語初心者」にとっては大変にありがたい本でした。
これまでまったく論語に触れたことのない方にとって、とても良い一冊なのではないかと思います。

2009年9月20日日曜日

人を動かす


人間が一人でできることには限界があります。
しかしながら、やらなければならないことはまた非常に多彩です。
自分に向いている仕事からそうでないものまで、実に多くの「仕事」をこなさなければなりません。


そのような現実を目の前にし、実際に大きな成果を出している人々の多くはある一つの共通点をもちます。
それは「人に動いてもらう、働いてもらうことが上手なこと」です。

そして人に動いてもらうに当たり、もっとも重要なのは「立派な組織論」ではなく「人間として当たり前の行動が出来ているか」という点なのではないかと思えます。
「この人のためなら動きたい」と相手におもってもらえるか否か。
そうやって少しでも多くの人から共感を得て、多くの人に支えられている人が最後に大きな成果を遂げることが出来ます。


本書はそのための「自分の行動指針」がまとめられている本です。
初版発行より早数十年、それでも読み継がれているという辺りが本書の魅力を伝える一番の手段かもしれません。

大切なことは「自分がどのように行動するか」です。
その行動の後に、周囲の人間の動きや成果がついてきます。

2009年9月15日火曜日

虹色のハーモニー


たまには音楽の紹介も。
現在私がもっとも濃いファンをしているアカペラグループ「TRY-TONEhttp://www.try-tone.net/top.html」のCDです。

アカペラという音楽については数年前に起こった「アカペラバブル期」に大分知られるようになりました。
以前に比べて演奏レベルが高いグループが増えてきたようにも思います。

しかしながら、このグループは一味も二味も違う!!
もう聴けば分かる!とでも言いましょうか。
人間の声の可能性を見せつけて(聴かせつけて?)くれる、本当にすごい方々です。

演奏レベルの高さもさることながら、さらに圧巻はそのエンターテイナー性です。
LIVEに行くとそれはそれは楽しい世界が待っております。
ぜひ行ってもらいたい!そして体験して欲しい!
心からそう思えるグループです。

まずはCDを聴いてみて下さい。
お気に召しましたら、是非ともLIVEにも足をお運び下さいませ。

いつも「お金がない」と嘆いている社長のための 資金繰りルールブック


自分で書いた本をここで紹介する日がくるとは思いませんでした。
連休明け位から本屋さんには並ぶようです。

資金繰りの基本的な要素についてなるべく簡単な表現を用いて書いてみました。
特に「収益」と「収入」、「費用」と「支出」の違いについては繰り返し触れています。
この考え方が分かっていないと「利益があっても会社は潰れる」現象が起こる理由が分からないからです。

もう一つ付け加えるなら、資金繰り対策とはそれだけで成立するものではなく、結局のところ利益を獲得し続けることができる仕組み、すなわちマーケティングが構築されているか否かが非常に重要であるという点について触れています。
「借り換えを使ってどうにかする」的な発想の資金繰り対策がもてはやされがちですが、そういった方法は本質的な解決手段とはなり得ないということについて理解をしなければなりません。

現在の自分なりにベストを尽くした一冊です。
宜しければお買い求めください。

2009年9月13日日曜日

世界で一番シンプルな決め方の技術


意思決定というものは、我々が日常的に行っていながらその理屈についてまでは理解が及んでいないものです。
その日の機嫌や天候、体調や同行者といった実に様々な要因から選択は変化をみせます。
そして一つ一つの選択はそれほど大きな結果を招くことではないため、その選択の結果について評価の時間をとることはそれほどないのではないでしょうか。

実のところ、成果というものは余り気にもとめていないような小さな意思決定の連続から確定されているものです。
成果を出している企業の経営者は隙が少ないです。
事業から私生活まで、日常的な選択の連続が結果的に大きな差につながっていることを自覚しているからです。
「こっちは大きなこと」「こっちは小さなこと」と分けるのではなく、一つ一つの決断について責任を持ち続けることが最終的には大きな成果を生み出すことにつながります。


本書はそんな意思決定のための方法論をまとめた本です。
内容は大きな二つの質問に分かれ、それぞれがさらに三つの小さな質問に分かれます。
この六つの質問を常に自分自身に対して実践することで、より成果のでる選択をすることができるようになると説いています。

個人的には「やりたいことではなくやらなければならないことをする」という考え方と「直観を信じる」という内容に我が意を得たり、というところでしょうか。
これは私自身が顧問先に対して常日頃から説き続けていることです。
私自身も、もう少し心身ともに引き締めていかなければなりませんな~。

トポロジカル宇宙 完全版 ポアンカレ予想解決への道


別に専攻していたわけでもないのですが、数学や天文、物理系の入門書を読むのは好きだったりします。
その中でも特に数学については抽象の世界を扱っているという点について、非常に特異なものであると思っています。
ところが数学の世界の研究が進むにつれ、色々なところで実世界とのつながりが明らかになってきました。
抽象を研究しているはずの数学が実は実際の世界で起こっていることを表す算式を作ることができる。
とてもすごいことのような気がします。


本書はトポロジーと呼ばれるものについて書かれている本です。
トポロジーとは空間に関する学問とでも理解すれば良いでしょうか。
学問的にある程度都合のよい空間を規定した上で、その空間をアレコレいじることにより性質を探っていくような学問です。
本来ならば非常に難しい算式が必要なのでしょうが、本書においては一切の算式を廃し、ビジュアルのみでトポロジーの、特に宇宙の形に関するお話を進めていきます。

トポロジーの世界では2006年、難攻不落と言われていたポアンカレ予想という問題が証明されるという出来事がありました。
この問題が解かれたことで、宇宙の形に関する話が先に進んだんだよ、ということも触れられています。


私も本書を読んで全てが理解できたわけではありません。
しかし、非常に想像力を使うことが求められました。
この想像力を使うという行為は、経営においても大変に重要な要素です。

仕事ばかりに頭を使うのではなく、何か違ったことに対しても頭を使うことは脳科学の見地からも正しい行為なのだとか。
皆様もぜひ抽象の世界で想像力を駆使してみて下さい。

2009年9月11日金曜日

Harvard Business Review 2009年10月号


特集は二つです。
・論語
・脳科学

ここ最近の同誌の中では一番楽しめたかもしれません。
論語というと現代の日本ではそれほどなじみのないものになりましたが、戦前の学校教育などにおいては基礎中の基礎として取り入れられていたものです。
その内容を一言で表すならば「あるべきリーダー論」とでもなりましょうか。
特に「徳」という考え方については、とかく「得」「利」といったものにとらわれがちな現代において、とても大切な考え方のように思われます。


後半の特集である脳科学も大変に興味深い内容です。
特に「何歳になっても脳を鍛えることはできる」という論文は、何かと年齢などを言い訳に自分が出来ないことを言い訳しようとしてしまう人々(無論、私も含めてですが)にとって大変に耳の痛いお話なのではないかと思います。
また、論文内において「遊びの重要性」について触れられていたのは我が意を得たり、というところでした。


どちらの特集も面白かったです。
ぜひご一読をば。

2009年9月9日水曜日

イヤな「仕事」もニッコリやれる陽明学


陽明学という学問に関するお話がまとめられている本です。
江戸~幕末期にかけて活躍した多くの志士達が学んでいた学問として、その名は少しだけ知られています。

この学問において「知行合一」という考え方があります。
この言葉について、多くの作家や学者が「言行一致のことだ」という説明をしています。
言っていることと行動は一致していなければならないよ、という意味合いですね。

ところが本書の著者は「そうではない」ということを力説しています。
「そもそも言葉と行動は合一のものである」という考え方こそが「知行合一」の意味だと述べているのです。
人間の中には「良知」と呼ばれるものが存在しており、その良知に従って発言をし、行動を起こしていることこそが重要だ、というような意味合いでしょうか。
(中々に難しいお話なので、簡単にはまとめられません)

哲学の勉強などをした方には、イデアなんてのが比較的近いのでしょうか。
ただし「正しいものが存在する世界が存在する」というのがイデアの発想法なら、「良知は人の中に存在する」と考えているわけですから、より一人ひとりの心がけで何とかなるのでは?という気がします。

他にも「日新(日々変わらないものなどない)」という言葉など、とかく閉塞感に陥りがちな現在のような世の中にあって心の中に留めておくだけでも毎日の生活が少し良い方向に向かうような言葉が紹介されている本です。
あまり難しいことを考えずに、なんとなく目を通してみるだけでも面白いかもしれません。

2009年8月18日火曜日

Harvard Business Review 2009年9月号


信頼というものに焦点を当てている号です。
人はそもそもが他人を信じやすいようにできているといった話や、チームワークに関する一般的な認識を覆す話などは小さな企業にとっても役に立つ内容かと思われます。

金融恐慌から端を発した経済危機の状況下において、実は一番得ることが難しくなったことの一つの信頼というものがあるのではないかと考えています。
それまであって当然だと思われていたものが容易くひっくり返る世の中にあって、一体何を信用して生きていけばよいのか、という思いを抱いた方は多いのではないでしょうか。


「商売は信用が命」という言葉は以前から言われています。
それは一朝一夕にできるものではなく、長い時間をかけて育むものであることは間違いありません。
しかし、信頼を築くことを意識しないまま単純に事業を継続していて信頼が得られるほど楽な時代でもないのではないでしょうか?

大切なことは経営を意識化することです。
何を目的としてどのように取り組んでいるのか、そしてそれはどのような評価を得ているのか。
このような日常的な研鑽を続けることが、信頼を得るためには必要なのだと思います。

2009年8月3日月曜日

経営の神は細部に宿る


多くの経営書において「大局観の重要性」や「戦略的(大きな目標)が重要であり、戦術的(具体的な行動論)はその次の問題」という視点が語られます。
木を見て森を見ず、にならないことの重要性を繰り返し指摘されているわけです。

しかし、本当に森ばかりを見ていて経営は上手くいくのでしょうか?
例えば植物の伝染病などは、まず一本の木が感染するところから始まります。
もし森全体の雰囲気ばかりに気を取られ、一本ずつの木を見ることを怠ってしまった場合、気がつけば森全体が伝染病にやられてしまうような事態になります。


戦略と戦術のどちらがより重要なのか、と問われれば私は「どちらも同じくらい重要」だと答えます。
大局観なき行動は成果が出ませんし、具体的な実行プランが存在しない夢は実現することが出来ません。
「木を見て森も見る」姿勢こそが重要です。
そして、今日から始められるのはより小さなこと、細かいことなのではないかと考えます。


本書は「小さなことにこだわる」ということの重要性を指摘しています。
小さなことにこだわるのは、問題の発見だけではありません。
事業の発展においても、小さなことにこだわるのは意味があります。
他社との差別化を図るに当たり、まず大切なのは「小さな差別化」を心がけることです。
そして次に大切なのは「小さな差別化を繰り返す」という継続的な姿勢です。

細かい人間はダメ、という意見がありますが一概にそうとは言い切れないよ、ということが分かります。
手軽に読める本ですので、是非ご一読を。

2009年7月28日火曜日

Harvard Business Review 2009年8月号


不況時における経営方針に関する論文を集めた号です。

はっきりいって、前半~中盤にかけては零細法人にとっては敷居が高い内容となっています。
しかし、最後二つの論文は零細法人にこそ気にして頂きたい内容です。


・不況期の上司の心得
上司という部分を社長に読み替えてそのまま利用できます。
見通しを示す、起きている現象を理解する、仕事を調整する、相手に思いやりを示す。
好不況問わず、当り前のことが出来るかどうかによって人材活用は大きな違いが生まれます。


・不況期のキャッシュ・マネジメント
運転資金の管理に関する論文です。
零細法人にとっても役立つ内容がとてもコンパクトにまとめられています。
この一つを精読するだけでも、資金繰りというものに関する新しい知見が得られるのではないでしょうか。

2009年7月24日金曜日

小さな会社のブランド戦略


下で紹介している本の兄弟本です。
基本的に書かれている内容は類似していると考えて頂いて構いません。
二冊併せて読むことで、より内容が補完されるかと思われます。


こと現在のような状況にあって、多くの企業が価格競争に勝ち残ることで生き残ろうとしています。
しかし、その方向の先に待っているのは大手企業のみが生き残る独占・寡占の世界です。
その世界には零細企業が生き残る余地は存在しません。

小さな企業が自分の立ち位置を作り、事業を持続可能なものへとするためには絶対にブランド戦略が必要になってきます。
まず問われているのは社長さん個人としての魅力です。
それをどのように発揮できるのかによって、小さな会社の運命は大きく変わります。

皆さんも「もてる人」と「もてない人」なら「もてる人」になりたいのではないでしょうか?
是非もててもてて困っちゃうような社長さんになって、もててもてて困っちゃうような企業を経営してみて下さい。

だれかに話したくなる小さな会社


私自身が顧問先などに繰り返しお話していることの一つに

「これからは小さな会社ほどブランドを作らなければならない」

というものがあります。
理由はいくつかありますが、ごく簡単にまとめるならば「良い意味で目立たないと、あまりにも競争相手が多すぎるので商売にならない」というものがあります。

競争相手は同業他社だけとは限りません。
最近の若年層は携帯電話に多くの時間を奪われていると聞きます。
それまで洋服にお金をかけていた世代が携帯電話をいじることで満足を得ているのだとすれば、アパレルメーカーにとって競合相手は携帯電話の会社ということになります。
これまでは競争相手と見なされなかったような会社が突然自社の市場を食い荒らすような時代です。

その状態にあって、ブランドを形成することができる企業は事業の展開方法が全く異なります。
ブランド企業には人やお金、チャンスが自然と寄ってくるものです。
あえてこちらから追いかけるまでもなく、勝手に集まってくるのです。
ブランド企業は自分から営業をかけることなく、ファンに支えられながら事業を発展させていきます。


本書はその「ブランドの引力」をどのように作るのか、ということに関して書いてある本です。
ブランドという概念はこれからの事業展開においてとてつもなく大切な考え方になります。

2009年7月18日土曜日

企画脳


私自身が現在追い求めていることに「楽しさ」「面白さ」というものがあります。
このご時世にあって、多くの人が楽しんだり面白いと思ったりすることを忘れている、あるいはそれが罪だとすら思っているのではないかと感じているからです。

しかし、成果を生み出している社長さんの多くが趣味を持っていることからも分かるのですが、何かを楽しんでいない人間に良い仕事は生み出せません。
また「自分を変える」「今持っているものを捨てる」といった行為に対して後ろ向きな考え方しか持てない人が成果を出すことはほとんどありません。
成功する社長は現状を変える、捨てるということについて冷静に、且つ前向きに捕えています。
それらの行為を楽しみ、面白いと思える人こそが大成するのです。


こと現在に至り、必要な能力は「仕組みを作ること」であると考えています。
もう少し言い換えるならば「面白さを仕組む、企画する」とでもなりましょうか。
良い仕事をするだけでは全く足りず、いかにエンタテイナーとして振る舞えるのかが問われているのではないかと。

本書は稀代のヒットメーカー秋元康さんが書かれた企画に関する本です。
非常に平易な文体で経営者、サラリーマン、自営業者等々、全ての人が押さえておくべき事項がつらつらと書かれています。


大勢から受け入れられることを求めないがゆえに、結局は大勢から受け入れられている。
氏のマスコミ活動だけでは分からないお話が満載です。

ものつくり敗戦 「匠の呪縛」が日本を衰退させる


日本は製造業の国であると言われています。
また多くの中小零細企業が「自社の技術の高さ」というものを誇りにしています。
確かに今から数十年前、「職人の技を持つ人間」によって日本は大きな繁栄を手にしていました。

そして、そういった技術の高さは「職人技」「匠の技術」といった言葉で表現され、それらは形式知や理論といったものとは真反対にある「暗黙知」「体験・経験主義」と理解されています。
本書は、その方向から産業を成立させることの限界を指摘しています。


「誰がやっても優れた成果が出せる仕組み」というものについてどう思われるでしょうか?
私は非常に良いことだと思うのですが、こと日本社会においてはこのような仕組みが好まれることはあまりありません。
「熟練した技を使ってその人にしかできない仕事を追求する」といった姿勢こそが「良い仕事」というように理解されているようです。
しかし、このようなものの見方は基本的に製造者側の理屈です。
そこには利用者側やシステム全体からの観点が全く欠落しています。

日本の「匠」や「職人芸」は見えるものにあまりにも多くの注意を払いすぎています。
しかし、現在求められているのは「全体としての最適解」や「仕組み」といった見えないものです。
これからの産業においては「見えないものを見ようとする努力」こそが求められています。
そういった姿勢が足りないからこそ日本ではソフトウェアやシステム分野において大きな成果を出すことができないでいるのです。

本書の中においても触れられていますが、本来日本では「見えないものを見る」ことについて多くの研究がなされてきました。
「わびとさび」「空」「観は強し見は弱し」
これらはすべて目に見えないものを感じようとする言葉です。
そして「目に見えないもの」は合理からだけでは構築することができません。
そこにこそ「体験・経験・矛盾」といった非合理的なものが含まれています。

日本企業は「合理を追求すべき分野」「非合理を追求すべき分野」を見直す必要があります。


良書です。
企業人、研究者、経営者問わず、ぜひ読んで頂きたい一冊です。

2009年7月14日火曜日

ウェブはバカと暇人のもの


Web2.0などという言葉が流行して大分経ちます。
インターネットで大儲け、クラウドコンピューティングで革新的なシステムが、などというお話がコンピュータ関係の本に留まらず、一般雑誌などにおいても特集されるようになってきました。

では現実にIT絡みの技術が物凄く大きな市場を形成することに成功しているのかと問われれば、私は「否」であると考えています。
少なくとも「ウェブでウハウハ」なんていうケースはそうそうありはしないかと。


所謂一般人がブログのような表現方法を手に入れたことは大きな意味があると考えています。
しかし、それが即産業化というように把握するのは、少々短絡的に過ぎます。
書かれているコンテンツの品質や伝達方法のレベルなど、やはりプロフェッショナルがテレビなどのメディアを使って大々的にやっているものの方が圧倒的に完成度が高いのではないかと。

本書はネットにまつわる色々な「良いお話」を単なる幻想だと切って捨てています。
確かに、最近でも「それ本当かよ!」と思わず突っ込みたくなるようなIT関係のお話が溢れ返っています。
少し前に紹介した「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」と共に、ウェブに関する現状分析をするための書籍としては役に立つかと思います。

ただ、本書のスタンスは少々極端に過ぎる面もあります。
この本で敢えて取り上げていない「頭の良い人々」も確実に存在するわけですし、そもそもテレビというメディアとネットというツールを一冊の本で比較する必要があるのかな~というのが個人的な感想です。
そもそもが求められている機能が違う、ということを忘れないでいることが大切かと。