2011年2月7日月曜日

差別の民俗学



民俗学者である赤松啓介さんの差別に関する論考をまとめた一冊です。
いわゆる「常民」と呼ばれる一般的なものの見方を否定し、差別というものがどのようにして産まれ、現在にも残っているのかを色々な具体例を取り上げながら考察していきます。

個人的に非常に面白かったのは「山道」のお話でしょうか。
差別をされていた人々が使っていた人知れない山道の存在など。
歩行法による速度と併せ、このような道の存在が全国に張り巡らされていたことが当時の驚異的な移動スピードに繋がっている面もあったのではないかと。

日本においてありがたがられる「道」の考え方も、裏を返せば差別的な思想と結びつく、という辺りは指摘されてみて初めて気が付きました。
どのような物事も、評価というのは一側面だけで考えてはいけないな、と思いつつ。

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