ドイツ人オイゲン・ヘリゲルからみた日本の弓術に関する研究書です。
弓という道具から禅、仏道に通じる方向にお話が進んでいきます。
日本における宗教書として読んでも面白いのですが、身体技術書として読んでも大変に面白いです。
例えば呼吸法。
少し抜粋すると
「あなたが弓を正しく引けないのは、肺で呼吸をするからである。
腹壁が程よく張るように、息をゆっくりと圧し下げて、痙攣的に圧迫せずに、息をぴたりと止め、どうしても必要な分だけ呼吸しなさい。
一旦そんな呼吸の仕方ができると、それで力の中心が下方へ移されたことになるから、両腕を弛め、力を抜いて、楽々と弓が引かれるようになる。」
腹壁を張る、というのは表層筋で固めるのではなく深層筋である横隔膜が下げられることによって張る、という理解で良いかと思います。
またこの呼吸法は尺八の「密息」に限りなく近いのではないかと。
また、弓道を技術ではなく、理屈を超越し宇宙との一体感をなすためのものであることも繰り返し指摘されています。
続編である「弓と禅」も今度読んでみようかと思います。
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