2010年8月20日金曜日

数学ガール ゲーデルの不完全性定理



「数学ガール」シリーズの第三作です。
自分自身の無矛盾性を自ら証明することはできない、というゲーデルの不完全性定理に関する本です。

さて、この不完全性定理、どちらかというと「否定的な意味合い」で使われていることが多いようです。
「数学の限界」を証明してしまった悲劇の定理として扱われていることの方が多いように見受けられます。
そしてそこから拡張解釈をして「理性の限界」や「合理性の限界」に話を展開しているようなケースが多々あるようです。
私自身も、そのような意味合いでこの定理を捉えている部分があります。


と同時に、ここ最近ずっと考えている「安易な一般化」という話があります。
ゲーデルの不完全性定理は本当に「全ての合理や理性、ロジック」についてその限界を提示しているようなものなのか?
私にはその部分がよく分かっていませんでした。


本書を読み終えての感想は、やはり「安易な一般化」に対する一層大きな懸念です。
この本を読むと、ゲーデルの不完全性定理が「あくまで数学上の問題」であることや「理性や論理の限界」など対象にしていないことが分かります。


その内容の鮮烈さから非常に恣意的な利用をされているこの定理について、少し違った側面から触れてみることが出来る本です。

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