2010年11月3日水曜日

テレビの大罪



テレビというものの持つ「毒」の部分をこれでもか!という勢いで書き連ねた本です。
著者ご本人も認めていらっしゃいますが、敢えて決めつけて書かれている部分もあり、反発を生みそうな部分も多いですが「物事の多面性」というものを図ることの重要性が繰り返し指摘されています。

実は私自身、テレビを見なくなって久しかったりします。
私の中では、お笑い芸人というと波田陽区さんあたりで止まっていまして、以降の芸人さんは正直言ってよく分かりません。
テレビを見なくなった理由は、端的に言うと「気持ち悪い」と感じるようになったからです。
このように感じたのは、自分が税理士として開業する少し前ころからだったように思います。

端的に言うと、事業という「複雑なもの」を見つめているうちに、テレビで流されている様々な出来事があまりにも単純化されているのではないか?と不安に思ったからです。
特にひどいのは「ニュース番組」ではないかと思います。
極端に被害者に偏った報道、一度でも罪を犯したものを徹底的に排斥しようとする言動などは、正直に言って「度が過ぎている」し「単純化し過ぎている」と思います。

私のような「法律に携わるお仕事」をしていると、嫌でも法のグレーな部分に近づかざるを得ないような場面に遭遇します。
私は問題がない、と思ってやったお仕事の結果、ある日突然「脱税幇助」で起訴される可能性だってあるわけです。
そのときにテレビではさぞかし「悪徳税理士!」「資産家である社長のために悪の限りを尽くした、堕ちた若手税理士」だとかさんざん報道するのかもしれません。

自分がもしあちら側だったら、と少しでも想像すれば、今のテレビがどれほど怖いものかは容易に想像ができると思います。
白と黒がはっきり分けられていることは確かに気持ちが良いかもしれません。
しかし、それだけで物事を片付けていて、もし自分が突然「黒」と断定されてしまったら、どうするのでしょうか?

本書自体を批判的に論じることもまた、多面性の育成には良いと思います。
そういうきっかけの一冊になれば。

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