2010年11月29日月曜日

贈与論



内田樹さんの本の中で何回か出てくるマルセル・モースの贈与論、原典に当たってみました。
正直、宗教系や民族系の難解な用語には中々ついていけない部分もあったのですが、やはり原典を読んでみてとても良かったです。

現在における贈与というものは「任意」や「好意」なわけですが、そうではない「義務としての贈与」というものが存在していたことが繰り返し説明されていきます。
贈与と返戻、また自分がもつ富を破壊する行為など、現在の我々の価値観からするとちょっとずれているお話なのですが、実は別の原理原則から考えるととても理にかなっているお話であることが本書を読み進めていくと分かってきます。

経済的な要素のみでなく、この「贈与と交換」という行為を通じてこそ「人間社会なるもの」が形成されていったのではないか、という全体的なお話が展開されます。

現在の諸問題の根っこにあるものを探るのにとても良い一冊かと。

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