2011年1月18日火曜日

風姿花伝



世阿弥が書いた能芸論の書として有名な一冊です。
本来は門外不出の秘伝書なわけですから、そこのところを前提においた上で読み進めることが肝要かな、と思います。


年齢別の稽古方法や取り組む役ごとに注意すべき点など、非常に具体的なお話が書かれています。
また「観客を意識すること」についても触れられており、近代経営的な匂いが結構する部分も多々あるように思われます。
そこに加えて「時運」の必要性や好不調の波、稽古の重要性など日常的、一般的な部分にも触れられています。

面白いと思ったのは「本当の花が咲くのは34,5歳くらい」というところでしょうか。
それまでに咲く花は若さ故の季節限定ものだよ、ということ。
当時の35歳といえば、かなりの高齢者ではないかと思います。
現在でも能の演者には80歳、90歳が珍しくないようです。
以前にも能に関する身体技法について取り上げた本を読んだことがありますが、能を通じて身体が活性化されるのでしょうか。

案外と厳しいのは「この年までに花が咲かないと、もう無理だよね」と見限っていること。
最近では「◯◯歳までにやっておきたいこと」的な本も多いですが、一面の事実ではあるのかと思います。
ただ「何歳になっても上達はする」というのもまた事実ですので、自分を磨くことは続けなければなりません。

あとは「皆でシュアする部分」と「秘する部分」についてどう考えるか。
自己の強み、というものを何でもあけっぴろげにするのも事業的には微妙ですが、実はシェアすることによって広がっていく世界(もちろん事業も含む)が間違いなく存在します。

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