2011年1月18日火曜日

選択の科学



選択肢がある状態とない状態を比較して、人にはどれだけの影響が出てくるのか?
この点について様々な側面から考察をしている本です。

かの有名な「ジャムの試食」実験をやったのはこの人だったのですね。
6種類のジャムと24種類のジャムで試食をしたとき、試食をするのは24種類のジャムを用意した時だったが、実際に購入率が高かったのは6種類のジャムを用意したときだったというアレです。

本書の場合、基本的に「選択できることは良いことだ」ということを前提にしています。
ただし面白いのは「ではすべてを選択できることが良いことなのか」という反対からの目線についても考察されているのが中々に面白いです。
選択肢が多すぎると満足感が下がる。
辛い選択については他人にやってもらった方が楽なこともある。(快復の見込みがない人間に対する治療の停止など)


私が持つ一つの懸念として、人が持つこのような傾向について「科学的に明らかにされていくこと」が一概に良いことだとは考えていない、ということがあります。
これらを理屈として明確にしてしまうことが、結局は人間をより「不幸な状態」にすることがあり得るからです。
そういった辺りの微妙なところを含みおいた上で読むと、実践的に活用できる部分も多い本なのではないかと感じました。

芸能論などとも絡む部分があり、色々な分野に繋げられそうな一冊です。

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