2011年1月24日月曜日

倍音 音・ことば・身体の文化誌



以前ご紹介した尺八の呼吸法「密息」に関する本を書かれていた中村明一さんの本です。
これまで音楽において脇役に置かれていた「倍音」を主役に持ってくることで、通説とは異なる歴史、音楽、身体の観点をひらこうという一冊です。

日本の国土や日本語の分析を通じ、なぜ日本において倍音の豊富な音楽が産まれたのかが指摘されていきます。
倍音を通じて人と人とのつながりなどが考察されていき、日本の伝統音楽に親しんでいくことの重要性について提言がなされます。

音のもつ多彩な力について再認識ができます。
みんなが知っているあの芸能人の声と発言内容の組み合わせなど、言われてみると「あ~」と納得出来ることが沢山出てきます。


ちょっと「和物ばんざい!」な思想が強すぎるので受け付けにくいところもあるな~とは思います。
が、西洋系の器楽、声楽などにおいて「倍音構造の取り込み」が行われてきている現状を考えると、確かに「和物」が先行している部分もあります。
良いところを上手く併せていくことで、先へ進めることができれば素晴らしいのではないかと。
ご自分に必要な部分だけでも取り込んで頂ければ。
一歩先に進めるのに役立つ一冊です。

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