2009年2月25日水曜日

狼と香辛料



所謂ライトノベルと呼ばれる分野の本です。
ファンタジーの世界を舞台に、主人公である旅の行商人が「豊穣の神」と呼ばれた少女と旅をします。
彼らは方々の街で色々なトラブルに巻き込まれ(そうでないと物語になりませんので)、それを解決していくことになります。

ファンタジーの世界で問題解決といえば「剣や魔法」が主流ですが、この物語はそのトラブル解決に当たり商売を手段として用いています。(少々の反則技もあるのですが)
国の貨幣制度や市場心理の動きなど、現実の世界でも度々話題になるような話が次々に登場します。


作者の方は経済学や商取引について勉強をされているようで、理論的に考えて正しいと思われる話の展開をしていきます。
敢えて倒錯的な楽しみをするとすれば、現実の世界との乖離を楽しむのも良いでしょう。
例えば作中では「強い国の通貨が高くなる」という話が繰り返し出てきます。
しかし、現実の世界では「弱い国と思われる日本の円が高くなっている」わけです。
この理論と現実の齟齬はどこにあるのでしょうか?
今までの理論が間違っていたのか、古くなったのか、あるいは一時的に狂っているだけなのか。
色々な分析が出来るかと思います。

エンタテイメントとしても、経済や商取引のエッセンスを勉強するのにも面白い本です。
(あとは「男女の駆け引き」が目いっぱい楽しめます。)
気楽に読み始められる小説です。

0 件のコメント: