2009年2月21日土曜日

世界一やさしい会計の本です



会計の勉強というと、皆さん「簿記」の勉強を思い浮かべるのではないでしょうか?
簿記の勉強とは「帳面の作り方」の勉強です。

しかし、世の中の多くのテクノロジーがそうであるように、全ての人が「作り方」を知っている必要はありません。
むしろ大切なのは「使い方」を知ることです。
皆さんは自分で車やPC、インターネットや電話の仕組みを知らなくても使いこなすことは出来るはずです。
それが、何故か会計については「作り方を勉強する」ことが最も大切かのように語られてしまいます。


本書は「女子大生会計士の事件簿」などで有名な山田真哉さんが書かれた会計の入門書です。
細かい話は抜きにして、会計の使い方を最初に勉強するためには非常に優れた本かと思います。

株式投資や就職・取引開始・融資申し込みに当たっての企業診断など、会計を使えるようになることで経済活動の幅は確実に広がります。

2009年2月19日木曜日

戦略PR 空気をつくる。世論で売る。



昨日ご紹介した「明日の広告」と兄弟関係にあるような本です。
繰り返しになりますが「明日の広告」では現代の消費者に商品を買ってもらえるような広告を考えるには、以下の2点が重要であるという指摘がされています。
・消費者視点
・各メディアごとの特性を掴み、部分最適を目指す

そして本書ではこれらの前段階でもある「世論」というものを作り出すことの重要性が訴えられています。
「明日の広告」でも本書でも広告はラブレターに例えられていますが、本書は「ラブレターを相手に渡す前に、良い返事を貰えるような雰囲気を作っておくこと」について解説がされています。
(雰囲気を作った後に実際にどのように手渡すかについて書かれているのが「明日の広告」です)


「世論なんてそう簡単に作れるのか?」
「大きな企業じゃないと無理なのでは?」
といったもっともな疑問についても本書はきちんと答えています。

二冊併せて読むことで、より大きな価値を引き出すことができます。

2009年2月18日水曜日

明日の広告



広告に関する話では、過去数年一つの傾向がみられます。
・ネットの流行によって既存メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)は衰退する
極簡単にまとめるとこのような主張です。

これはある意味で当たっている部分もあります。
今までの広告は「企業側が消費者に対して企業の言いたいことを言ってお終い」という形態しか存在しませんでした。
それがネット、BlogやSNSなどの発展により、消費者側が情報を発信し、同様の商品を厳しく評価し、企業の言い分を厳しくチェックするようになりました。
一方的に「良い商品でしょ?」と売り込んで買ってこれるほど、現代の消費者は愚かではないということで広告の力は今後失われていく、という傾向は確かにある程度進みました。

しかし、この主張は極論に過ぎるのではないか、というのが本書の主張です。
本書の主張を極簡単にまとめると次のようになります。
・情報を伝えられたがっている人、つまり消費者のことをひたすら観察し、それから手段を考える。
・手段の優劣は場合によりけり、ラジオがテレビに勝ることもあれば、ネットが常に優れているとも限らず、大切なのは部分最適を図ること。


不況期になるととかく簡単に削減されがちな広告費ですが、適切な予算配分を考えれば「安価で」「効率の良い」広告を出すことは可能なはずです。

2009年2月6日金曜日

ブレークスルー思考



ハーバードビジネスレビューに投稿された論文の中から創造性やイノベーションに関するテーマについての論文を集めた本です。
日本版の雑誌では未収録の論文も含まれており、中々に読み応えがあります。

個人的には「観察」に関する論文が最も面白いと思いました。
「顧客のニーズを掴む」と言うのは簡単ですが、実はこれには大きな落とし穴があります。
実はニーズそのものを本人が認識していなかったり、そもそもどこにもそんなニーズは存在していないケースが非常に多いからです。
そのような状況下で、顧客や見込み顧客にどれだけ市場調査をしても魅力的な商品やサービスが産まれるかどうかは非常に疑問です。

大切なのは顧客や見込み顧客を観察し、解釈をして提示することです。
例えばメイド喫茶なら、この世界のどこを探したって「メイドさんがウェイトレスをやってくれる喫茶店が欲しい」なんて言っていた人はいませんでした。
つまりそんなニーズは存在していなかったのです。
ところが現に今では小規模な産業として成立するに至っています。
(一時期ほど話は聞かないので、現状がどれくらい流行しているのかは少し分かりませんが…)
一部男性のメイドさんに対する欲求を観察し、実際にコミュニケーションをとれる場があれば受け入れられるのではと分析・解釈をし、喫茶店という形で提示をしました。
一つの成功事例として考えると中々面白いのかもしれません。


常に新しいことを考える必要があるこのご時世、皆さんにも活用できる場面があるはずです。
是非ご一読を。

2009年1月25日日曜日

企業とは何か



企業という組織が誕生し、これほど一般化したのは実はそれほど古い話ではありません。
20世紀になって企業社会と呼ばれるものが一般的になったと理解すべきでしょう。
それまで人は自分で物を作り、売り、資金や財を得て生活をしていました。

企業社会の到来は、産業の発展に目覚ましい成果を与えました。
もし未だに経済が個人事業者ばかりの時代だとしたら、高度な工業品もなければIT技術の発展なども有り得なかったでしょう。


当然のことながら、企業社会は「雇われている人」が大量に存在することで成立しています。
日本で言っても、自営業者は年々減少し、サラリーマンとして生活している人がほとんどです。
しかし、この「サラリーマン社会」において人類は一つの難題にぶつかっています。
それはサラリーマンが社会における役割を自覚しにくい、ということです。

自営業者は常に社会とのつながりを意識し、ぶつかり、苦労を味わい、それ故自分が社会においてどのような役割を担っているのかを自覚することが(比較的容易に)できます。
その自覚は実は立派な精神的報酬であり、この精神的報酬があるからこそ多くの自営業者は事業を続けていくことが出来るのです。
しかしながら、サラリーマンの多くは資金的な報酬しか得ることがありません。
その原因は経営者の側にも、労働者の側にもあると私は考えます。


本書は
「企業は社員にどのような仕事を与えるべきなのか」
「企業は社会に対してどのような責務を負い、どのような貢献ができるのか」
このような要素について、企業社会の到来が本格化してきた1946年に発行されました。
この本においては、モデル企業として米国のGMを取り上げています。
何故GMが世界一の自動車メーカーとなることができたのか、そして何故いまや破綻の危機に陥っているのか。
本書を読むと、その原因が分かるかもしれません。

経営とは時代に即して変化する必要があります。
宮本武蔵曰く
「いつくは死ぬる手なり」
安定・硬直は死を招きます。

2009年1月18日日曜日

Q.E.D. -証明終了-



加藤元浩さんという漫画家が12年に渡り連載している推理コミックスです。
が…ともかく扱うネタが面白い!
難しい数学関係のネタや金融工学、宗教学から民俗学まで本当に守備範囲が広いです。
私はこの漫画のおかげで数学や天文に関する興味が広がりました。

「難解なことをやさしく描く」ことを目的としている作者は、難しい分野の話についても素人がおもしろいと思えるような部分を抜き出しているそうです。
この考え方は私も同じで、税務や経営に関することでも「面白い」だとか「興味を持ってもらいやすい」部分はやはりあるのだと思っています。
それをなるべくわかりやすく表現したいとは思っているのですが…これが中々…。
自分で苦労を味わっている分、加藤さんの作品は本当に面白いと思います。


平成21年1月時点で兄弟作品も含めて50冊程度の作品が発行されています。
是非読んでみて下さい。
※左側は所謂「ネタ明かし本」なので、全作品読了後にお読み頂くことをお勧め致します。

2009年1月16日金曜日

Harvard Business Review 2008年12月号




事業経営においては「自社が優位な場所・時間・方法」などを考える必要があります。
どんなに商品が良くても売れないこともあれば、流通方法を変えただけで状況が一変するようなこともあり得ます。
広い意味での「商売の仕組み」を考えることが重要です。

仕組みにおいては、自社を硬直化させるのではなく、変化を受け入れ改善や進歩を続けられるような状況を考慮する必要があります。
同じ場所に居続けることは企業を安定させますが、突然の死を迎えることも多いのです。
多様な能力を活用し、常に自社事業を自ら陳腐化させるような努力が必要です。


本書は「自社を優位に立たせるための仕組み」について書かれています。
自社内の組織に対する考え方から、ITを活用した「無償の貢献」を引き出す方法まで、多くの事例が取り上げられています。
大企業がサンプルですので模倣はそれほど簡単ではありませんが、ポイント毎に皆さんの事業で活用できるものもあるはずです。