2009年1月25日日曜日

企業とは何か



企業という組織が誕生し、これほど一般化したのは実はそれほど古い話ではありません。
20世紀になって企業社会と呼ばれるものが一般的になったと理解すべきでしょう。
それまで人は自分で物を作り、売り、資金や財を得て生活をしていました。

企業社会の到来は、産業の発展に目覚ましい成果を与えました。
もし未だに経済が個人事業者ばかりの時代だとしたら、高度な工業品もなければIT技術の発展なども有り得なかったでしょう。


当然のことながら、企業社会は「雇われている人」が大量に存在することで成立しています。
日本で言っても、自営業者は年々減少し、サラリーマンとして生活している人がほとんどです。
しかし、この「サラリーマン社会」において人類は一つの難題にぶつかっています。
それはサラリーマンが社会における役割を自覚しにくい、ということです。

自営業者は常に社会とのつながりを意識し、ぶつかり、苦労を味わい、それ故自分が社会においてどのような役割を担っているのかを自覚することが(比較的容易に)できます。
その自覚は実は立派な精神的報酬であり、この精神的報酬があるからこそ多くの自営業者は事業を続けていくことが出来るのです。
しかしながら、サラリーマンの多くは資金的な報酬しか得ることがありません。
その原因は経営者の側にも、労働者の側にもあると私は考えます。


本書は
「企業は社員にどのような仕事を与えるべきなのか」
「企業は社会に対してどのような責務を負い、どのような貢献ができるのか」
このような要素について、企業社会の到来が本格化してきた1946年に発行されました。
この本においては、モデル企業として米国のGMを取り上げています。
何故GMが世界一の自動車メーカーとなることができたのか、そして何故いまや破綻の危機に陥っているのか。
本書を読むと、その原因が分かるかもしれません。

経営とは時代に即して変化する必要があります。
宮本武蔵曰く
「いつくは死ぬる手なり」
安定・硬直は死を招きます。

2009年1月18日日曜日

Q.E.D. -証明終了-



加藤元浩さんという漫画家が12年に渡り連載している推理コミックスです。
が…ともかく扱うネタが面白い!
難しい数学関係のネタや金融工学、宗教学から民俗学まで本当に守備範囲が広いです。
私はこの漫画のおかげで数学や天文に関する興味が広がりました。

「難解なことをやさしく描く」ことを目的としている作者は、難しい分野の話についても素人がおもしろいと思えるような部分を抜き出しているそうです。
この考え方は私も同じで、税務や経営に関することでも「面白い」だとか「興味を持ってもらいやすい」部分はやはりあるのだと思っています。
それをなるべくわかりやすく表現したいとは思っているのですが…これが中々…。
自分で苦労を味わっている分、加藤さんの作品は本当に面白いと思います。


平成21年1月時点で兄弟作品も含めて50冊程度の作品が発行されています。
是非読んでみて下さい。
※左側は所謂「ネタ明かし本」なので、全作品読了後にお読み頂くことをお勧め致します。

2009年1月16日金曜日

Harvard Business Review 2008年12月号




事業経営においては「自社が優位な場所・時間・方法」などを考える必要があります。
どんなに商品が良くても売れないこともあれば、流通方法を変えただけで状況が一変するようなこともあり得ます。
広い意味での「商売の仕組み」を考えることが重要です。

仕組みにおいては、自社を硬直化させるのではなく、変化を受け入れ改善や進歩を続けられるような状況を考慮する必要があります。
同じ場所に居続けることは企業を安定させますが、突然の死を迎えることも多いのです。
多様な能力を活用し、常に自社事業を自ら陳腐化させるような努力が必要です。


本書は「自社を優位に立たせるための仕組み」について書かれています。
自社内の組織に対する考え方から、ITを活用した「無償の貢献」を引き出す方法まで、多くの事例が取り上げられています。
大企業がサンプルですので模倣はそれほど簡単ではありませんが、ポイント毎に皆さんの事業で活用できるものもあるはずです。

2008年12月30日火曜日

産業人の未来



経済的な成果が最も重要である、という大前提は何時ごろから出来たのでしょうか?
多くの人が「金に汚いのは嫌だ」と言いながら「金がない」と文句を言っています。

この本は「経済を超えた価値を探ることの重要性」について書かれています。
個人と社会の関係がどのようにあるべきなのか。
最も重要とされる価値観はどこにあるのか。
この本が書かれた1942年、世界大戦の最中において著者は現在起こっている問題のすべてを見越していたかのようです。


「社会における役割を与えられない人間」がどれほど不幸なのか。
「役割が与えられるという点において、戦争は合理的な手段である」という言葉をどう考えるべきなのか。
雇用の問題、右派や左派を超えた「希望は戦争」という論旨すら出てくる現状。

今、この文章を読んでいるあなたは社会的な役割を持っているでしょうか?
そしてあなたの周囲には社会的な役割を与えられずに「社会の根なし草」となっている人が多数存在していることに気がついているでしょうか?
あなた自身は社会に対し「何を成したいのか」を真剣に考えているでしょうか?


私はここで「世界を構築する」ことを得意とする日本人の能力が活きてくるのだと考えます。
西洋の理性万能主義では成しえなかったものを、今こそ構築できるのではないかと。

2008年12月19日金曜日

金持ち父さん 貧乏父さん



発刊当初大きな話題を集めた本書ですが、その内容には賛否両論があります。
本書の主張を簡潔にまとめると「資本主義万歳!」です。
経営というものの一つの側面である「お金の使い方」ということに関し、極論ともいえる論理展開をしています。

個人的にはこのような論理のみで世の中が動いて欲しいとは思っていません。
ただし、多くの方が自覚する、しないに関わらず「お金についての不満」を口にしている以上、この本の主張を部分的には認めざるを得ないのではないか、と私は考えます。


人生における「投資」というものについて、色々と考えさせられる本です。
一度読んでみて下さい。
ひょっとすると物凄くあなたの気分を害するかもしれません。
しかし、それを超えて理性的に本書の主張を捉える事で、現在のあなたに足りないものが見えてくるかもしれません。

経営学入門

 

経営学という学問は、実に多くの分野の学問を内包しています。
人材の管理、営業方法、商品の開発等々、あらゆる要素が経営には求められているからです。
どの要素が欠けても、その企業の活動にはほころびが生じてしまいます。

本書はそんな経営学の入門書です。
経営学の多面的な要素を網羅的に紹介しているので、目次を読むだけでも勉強になります。
また日本企業が陥りがちなミスや状況についても繰り返し指摘がされています。


私は最近あらゆる所で言っているのですが、これからの時代は企業も個人も自分を経営する必要性があります。
自分のやりたいことを想い、そのためにやるべきこととやるべきでないことを考え、それを実行するための手段を見つける。
これらは全て経営という手法そのものです。
経営とは「自己表現のための手段」なのです。

経済情勢や雇用環境の悪化など、企業も個人も自分の生きる道をコントロールする必要が高まっています。
皆様も是非一度経営について考えてみて下さい。

2008年12月11日木曜日

「経済人」の終わり



敢えて断言をします。
「蟹工船」なんぞをありがたがっている暇があるなら、この本を読むべきです。


2008年冬現在起こっている現象に対して、これ程の的確な本があったのか、という思いがします。
ドラッカー氏の主張として「近代合理主義の破綻・終焉」とでも言えるようなものが根底に存在するようです。
西洋で生まれた資本主義・共産主義、そのどちらも既に破綻が確定している議論であって、現状のあらゆる閉塞感に対して有効な手段足りえないことなど、世界大戦があったころから分かりきっていたことだったのがこの本で確認出来ます。

この本の初版は1939年発刊です。
なぜファシズム・ナチズムと呼ばれるような勢力が発生し、あれほどに受け入れられたのか。
ドラッカー氏は「社会全体を合理的に捉える事の破綻」を原因として挙げています。

「経済」を世界の中心にすえる「経済至上主義」はすでに終焉・崩壊の一歩手前にあるのかもしれません。
その時に我々は何をなすべきなのか、この本にはその指針が含まれています。


個々人が自分を合理化し、経営・マネジメントすること、その重要性を理解させてくれる超推奨本です。